カエル飼育を行っていくうえで問題になるのがエサ問題。
カエルは動くものにしか反応しないため、犬・猫のような加工食品で済ますことができず、生きエサを用意することになります。
生きエサの代表がコオロギなのですが、見た目はゴキブリの面影があるため、虫嫌いには厳しいのが実情です。
さらにコオロギはゴキブリと違いデリケートな虫であるため、コオロギのストック(飼育保管)はカエル以上に大変という声もあります。
エサ費用も意外と高く、代表的なヨーロッパイエコオロギのホームセンターにおける相場は、Mサイズで1匹15円ほどです。
- 素早く動き回る虫が苦手
- コオロギの見た目が生理的にムリ
- カエルのエサごときに飼育労力を費やしたくない
- エサ調達コストを抑えたい
そんな人におすすめなのがミルワームです。
栄養バランスではコオロギに劣る部分はありますが、動きは遅く、飼育保管も楽なうえ、価格も安く、調達の手間もかかりません。
コオロギ同様にカエル受けは良いので、食べてくれないリスクは低いです。
本記事ではミルワームがおすすめな5つの理由とエサとしての注意点についてお伝えします。
カエルのエサは気軽に済ませたいと考えている方は参考にしてください。
カエルのエサとしてミルワームがおすすめな5つの理由

- 動きが遅いので給餌が楽で脱走リスクもない
- 生命力が高いため飼育保管が簡単
- 量に対して値段が安い
- ホームセンターやネット通販で気軽に購入できる
- クネクネ動くのでカエル受けが良い
メジャーのエサであるコオロギと比較しながら順番に解説していきます。
ミルワームは動きが遅いので給餌が楽で脱走リスクもない
コオロギは素早い昆虫であることから、手で捕まえてカエルケースに移動させるのに手間がかかります。
卵トレーにくっついているコオロギをトレーごと取り出して、カエルケースへ移動させることもありますが、移動中に跳ねて脱走してしまうことも日常的です。
そもそもコオロギを手で触るのは虫嫌いにとってはハードルが高く、逃げてしまったら虫嫌いな人の場合、どうにもなりません。
カエル側の立場で見た場合、ヒキガエルなど動きの遅いカエルだとコオロギを捕らえるのに一苦労します。
ミルワームは動きが遅いため、1匹1匹ピンセットで容易にカエルケースへ移動させることができます。
立体移動は苦手なため、エサケースに入れておけば、脱走せずそのまま残ってくれるので、犬・猫のような置きエサスタイルも選択できます。

カエル側の立場から見ても、動きが遅いため、少々体が衰弱した状態でも、簡単に捕食できるメリットがあります。
ミルワームは生命力が高いため飼育保管が楽
ミルワーム飼育が簡単と言える理由は具体的に5つありますが、一言で済ますなら生命力が高いこと。
- 掃除は月1回で十分
- エサは放置でよい
- 水分はほぼ不要
- レイアウトは簡易でOK
- 温度や湿度の変化に強い
詳しくはこちらの記事で解説しています。
コオロギはデリケートかつ1匹当たりの価格が高いため、飼育保管に神経を使いますし、ケースの掃除や水やりなどやるべき飼育作業が多いです、
ミルワームは生命力が高いため、夏場でも3日に1回ほど様子を見るぐらいで問題ありません。
ミルワームは量に対して値段が安い
コオロギは1匹10円以上に対し、ミルワームは100匹カップで500円以内とかなり安いです。
さらにストック中の死亡率もミルワームのほうが低いため、エサ費用を抑えたいのであればミルワームのほうが良いです。
事例として、アマガエル成体1匹をミルワームだけをエサにして飼育する場合、月のエサ料金は300円もかかりません。
ただし大型(成人男性の拳サイズ)カエルの場合、1回で大量のミルワームを捕食し、一定数は捕食中に吹き飛ばされ水の中で溺死したり、床材の中に潜り込んでしまうため、ML以上の大型コオロギを与えたほうが安く済みます。
ホームセンターやネット通販で気軽に購入できる
ミルワームはカエルや小型爬虫類のほか、小型爬虫類・鳥・ハムスターのエサとしても利用されているため、供給業者も多く、ホームセンターでもコオロギと並んで販売されている店舗が多いです。

ネット通販においても、取扱い業者は多く、安定した供給のおかげで売切れの頻度は低いです。
またネット通販の場合、デリケートなコオロギの場合、配送中の死亡リスクは高いですが、ミルワームの場合、生命力が強いため、真夏・真冬・高湿でなければ配送中の死亡率は低いです。
クネクネ動くのでカエル受けが良い
元気なミルワームだと、エサケースに置いたときにクネクネ動いてくれるため、カエルの視界に入るとカエルが興味を持ってくれます。
カエルの食べっぷりも良く、ダンゴムシや一部の小型甲虫の場合は1匹食べた後、2匹目はすぐに手を出さない個体が目立ちますが、ミルワームは連続して捕食する姿をよく見かけます。

連続して捕食する理由として、甲殻類・甲虫と違い胃袋の中に入っても違和感が少ないからだと思われます。
コオロギと比較した場合、カエルは視覚のほか聴覚でもエサを察知し、コオロギは動く際に音を出すことから、給餌の際の反応はミルワームよりコオロギのほうがカエル受けは高いです。
カエルのエサとしてミルワームを使用する際の注意点と3つの対策

ミルワームの注意点はカルシウム不足です。
ミルワームはコオロギより栄養バランスは劣るものの、全体的にみれば栄養バランスは整っていると言えます。
ただし、下記図を見てもらうとわかりますが、カルシウムとリンの比率が最も悪いです。
とある獣医の豪州生活Ⅱより引用
カルシウムが不足するとクル病など代謝性骨疾患を発症してしまいます。
したがって、ミルワームを主体のエサとする場合、下記3つのことを行い、カルシウム不足を防ぐことが重要になってきます。
- ダスティング
- ガットローディング
- 甲殻類も給餌

①と②は必須項目です。ミルワームだけでなく栄養バランスが良いと言われているコオロギでも必須です。
ダスティング
ダスティングとは生きエサにカルシウム剤を振りかけることです。
カルシウム剤が付着した生きエサをカエルが捕食することで、カエルにカルシウムが行き渡ります。
コオロギの場合は跳ねることから、底の深いバケツに入れてカルシウム剤を振りかける必要がありますが、ミルワームの場合は脱走リスクはないので、直接エサケースでダスティングを行って問題ありません。


カルシウム剤はビタミンD有りと無しがありますが、ビタミンDはカルシウムと違い過剰摂取は害があり、太陽の光を浴びていれば体内で生成もされることから、野外飼育で日が当たる場所であれば、ビタミンD無しで問題ありません。



亀が日向ぼっこをしているのは、ビタミンDを体内で生成して甲羅の強度を維持するためだよ。
ガットローディング
ガットローディングとは生きエサの栄養価を高める行為です。
カエルは生きエサを丸呑みするため、当然ながら生きエサが食べたものもカエルの栄養になります。
ミルワームのガットローディングは簡単で、床材にかつお節を追加し、エサとして煮干しを与えることで、ミルワームの体内にカルシウムが入ります。





かつお節は人気ですぐに食べつくしますし、煮干しも入れた直後にミルワームが寄ってきますよ。
甲殻類も並行して給餌
カルシウム不足対策と言えば、ダスティングとガットローディングが王道ですが、カルシウムを多く含んだワラジムシやダンゴムシを与えることも有効です。
ダンゴムシやワラジムシは近所の公園にも生息しています。


注意点として、ダンゴムシはワラジムシと違い、身の危険を感じると丸くなるため、カエルが石を呑み込んだと勘違いして吐き出すことがあります。
また、食いつきもいまいちで個体によっては関心を示さないものもいます。
そのためか、実店舗やネット通販ではカルシウム補給のエサとしてはワラジムシを取扱いしています。



我が家のアマガエルはダンゴムシには興味を示さなかったよ。一方で中型以上のトノサマガエルはごく普通に丸呑みしていたけど、ミルワームのように次々と捕食することはなかったです。地表棲のヒキガエルは次々と捕食していました。
まとめ:カエルのエサにミルワームはおすすめ


本記事ではカエルのエサでミルワームがおすすめな理由と注意点についてお伝えしました。
- 動きが遅いので給餌が楽で脱走リスクもない
- 生命力が高いため飼育保管が簡単
- 量に対して値段が安い
- ホームセンターやネット通販で気軽に購入できる
- クネクネ動くのでカエル受けが良い
- ダスティング
- ガットローディング
- 甲殻類も給餌
ミルワームは多くの飼育者から評価を得ている生きエサですが、カルシウムとリンの比率は悪いのでダスティングとガットローディングは必ず実施しましょう。
当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。