日本には48種類のカエルがいますが、一番身近なカエルと言えばやはりニホンアマガエルでしょう。
しかし、そんな身近なニホンアマガエルですが、いざ飼育してみると、初めて知ったことや驚いたことがいくつかありましたので、本記事ではアマガエルを1年飼育して知ったことを7つに要約してお伝えします。
子どもの夏休みの自由研究のネタに役立ててください。
その1:アマガエルは皮膚の色がいろいろ変わる
アマガエルと言えば『緑』のイメージが強いですが、アマガエルはカメレオンのような『保護色』を備えており皮膚の色を変えることができます。
驚いたのは、色のバリエーション。
アマガエルが保護色のカエルであることは知っていましたが、飼育ケース内だけでも様々な色の変化を見せつけてくれました。
他のカエルでも身を守るために保護色を備えていますが、アマガエルのように数多くの色に変化はできません。
そもそも、なぜアマガエルは自在に色を変えることができるのか。
答えはアマガエルの皮膚にありました。
アマガエルの表皮の下には、順番に黄色色素細胞、虹色色素細胞(青い色の光を反射)、黒色色素細胞(青色以外の光を吸収)の3層からなる色素細胞の層があります。
この3層が光を反射もしくは吸収によって、アマガエルは体色を変えることができます。
よく見かける緑色のカエルは、虹色色素細胞で反射した青色の光が黄色色素細胞と混ざることで、体が緑色に見えている状態だよ。
変異色の要因の説明は、三重県の鳥羽水族館のガイダンスが分かりやすかったので参考にしてください。
その2:アマガエルは木の枝が好き
カエルと言えば『水』のイメージを持つ人は多いでしょう。
実際に両生類は魚類と爬虫類の間であり、同じ両生類であるイモリは水の中に生息しますし、サンショウウオも水中や水辺を好みます。
そんなわけでアマガエルを飼い始めた当初は、飼育ケースに水を入れ、ところどころに島(陸地)をつくるレイアウトにしたわけですが、水に浸かるアマガエルは皆無で、ほとんどがカゴの隅や壁に張り付いていました。
なぜ?と思い調べてみると、カエルには生息別に大きく4つに分けられることがわかりました。
- 水棲(アフリカツメガエルなど)
- 半水棲(トノサマガエルなど)
- 地表棲(ヒキガエルなど)
- 樹上棲(アマガエル・シュレーゲルアオガエルなど)
樹上棲アマガエルは別名ツリーフロッグとも呼ばれ、カエルのなかでも乾燥に強く、普段は草木に生息しています。
そんなわけで、アマガエルの飼育ケースに木の枝を入れてみたら、なんと木の枝の場所取り合戦が始まりました。
とくに木の枝の先端部分に居座る習性があり、飼育ケースを除くと木の枝の先端は密になっていることが多いです。
その3:アマガエルは胃袋を吐き出せる
カエルは動くものをエサと認識します。
さらにアマガエルの場合、歯がないため、食べられたエサは生きたまま胃の中に入れられます。
中には胃の中で反撃するエサ(蜂やアリなど)もいますが、その場合、どのような対処をするか。
答えは胃ごと吐き出します。
もう少し具体的に言うと、食道と胃を反転させて口から出します。
人間みたいにゲロとして吐き出すわけでなく、胃そのものを出してしまうので、シンプルに異物を吐き出すことができます。
飼育当初に胃を吐き出したアマガエルを見たときは「あっ、死亡フラグが成立した」と思いましたが、その後は何事もなかったかのように口の中に戻っていきました。
もし道路で死んでいるカエルがいたら口元を観察してみましょう。
たまに胃を吐き出しているカエル(故)がいます。
昆虫の中には、カエルが胃を吐き出す特性を本能で理解し、カエルに捕食されたとき、胃の中で刺激物を放出して、胃ごと吐き出され生還を果たす強者もいます。
その4:アマガエルは鳴き声が大きい
アマガエルの小柄な体とは裏腹に鳴き声は非常に大きいです。
夜の田んぼでカエルたちの鳴き声がうるさいと感じたことはありましたが、1匹でも本気を出されると近所迷惑レベルに達します。
本気を出したアマガエルはガチで一騎当千レベルの鳴き声です。
そもそも、なぜアマガエルは大きな声で鳴くのか。
小さな自分を見つけてもらうためです。
夜な夜なアマガエルが田んぼで全力で鳴いているのは、オスのアマガエルがメスを引き寄せるためです。
そのためには、他のカエルや虫などの鳴き声に打ち消されないよう、大声で鳴く必要があります。
他にも鳴く理由は以下3つほどありますが、メスを引き寄せるための鳴き声が最も大きいです。
- オスなのにメスと間違われ抱かれたとき(リリースコール)
- 気圧が変化したとき(雨が降る前)
- 他のオスの鳴き声に対抗
飼育しているカエルが鳴くということはリラックスしている表れなので、飼育上は良いことですが、近所迷惑を気にするのであれば、鳴くことが少ないメスのアマガエルを選びましょう。
オスは鳴き袋(鳴のう)が発達しているため、顎の下を見れば性別の見分けがつきます。
朝まで田んぼで鳴いているアマガエルは、メスを引き寄せることができなかった非モテのアマガエルなので大目にみてあげてくださいね。
その5:アマガエルが壁に張り付くとき、お腹も利用している
アマガエルの特徴とは言えば、手足に吸盤があることで、飼育ケース内を縦横無尽に立体移動し、壁にも張り付けること。
アマガエルを飼育するまでは、手足の吸盤の力だけで壁にくっついていると思っていましたが、いざ観察してみると、お腹も重大な役割を果たしていることがわかりました。
実際に飼育ケースの壁に張り付くアマガエルを外から見ると、お腹も壁にべったりつけているのがわかります。
ちょっと気になったので実験もしてみました。
実験内容は簡単で、乾いた砂を入れた飼育ケースにアマガエル5匹を入れたらどうなるか?
結論から言って、壁を登り切ったカエルはいませんでした。
アマガエルは地上が落ち着かず、ケースに入れると高い位置を目指し、よじ登る習性があるのですが、手足の吸盤を駆使してよじ登るも、体を支えきれず、ずり落ちていきました。
最終的には脱走はもちろん壁にくっつくことも諦め、地上で待機していました。
アマガエルを一時隔離するときは砂が入ったカゴに入れておけば、天井や壁に張り付くことなく、地上でおとなしく待機してくれるので戻すときに楽ですよ。
その6:アマガエルの天敵は多い
カエルの天敵と言えば、真っ先に思い浮かぶのがヘビでしょう。
ヘビの本で主なエサを見ると、ほとんどのヘビでカエルが好物と説明されていますし、『蛇に睨まれた蛙』ということわざもあります。
そのほかに鳥やイタチなどの小型の哺乳類もカエルの天敵となりますが、体が小さいアマガエルの場合、さらに天敵が多くなります。
我が家ではアマガエル以外にも様々な生き物を飼っていますが、そのなかでアマガエルの天敵と判明した生き物は以下3種類。
- カマキリ
- ザリガニ
- アマガエルより大きいカエル
手持ちの飼育ケースが少なかったころカマキリをゲットしたため、とりあえずアマガエル飼育ケースに入れたところ事件が起きました。
なんとアマガエルがカマキリに捕まり、宙ぶらりんの状態で食べられていました。
カマキリは自然界でもアマガエルと同じ草木に生息するため、厄介な天敵と言えるでしょう。
個人的には昆虫が脊椎動物であるカエルをエサとして認識することにびっくりしましたね。
なお、大型トノサマガエルがいる飼育ケースに入った中型のカマキリ(アマガエルの天敵)は10秒後に捕食されました。
また意外な天敵なのがアマガエルより大きなカエル。
カエルは動くものをエサとして認識しており、同じカエルとて例外ではありませんでした。
とくに食欲旺盛なヌマガエルは、自身の半分ぐらいの大きさのアマガエルの手足に食らいついたり、体ごと一気に飲みこもうとしたりします。
ヌマガエルもアマガエルと生息エリアが同じであるため、アマガエルにとってはヌマガエルは脅威の天敵と言えるでしょう。
アマガエルが他のカエルに狙われる理由については、こちらの記事を参考にしてください。
その7:アマガエルは頭サイズのエサもガッツリ食べる
アマガエルは見た目とは裏腹に大食いで、口に入るサイズであればエサと認識します。
さらに口もかなり大きく開けることができ、自分の頭サイズの虫にも食らいつきます
上記画像のようにミルワーム2匹を同時に捕食したり、自分の体と同じサイズであるショウリョウバッタを捕食することもあります。
同じサイズのショウリョウバッタ捕食は想定外な展開で、アマガエルと同じぐらいの大きさなので、たぶん食べられずに飼育ケース内で生き残るのかなと思いつつ、アマガエル飼育ケースにぶち込んだら、アマガエルたちが次々にショウリョウバッタを狙って平和な飼育ケースが一気に戦場に。
アマガエルはベロで掴めるサイズの羽虫しか食べない認識だったので、アマガエルと同サイズのショウリョウバッタをむしゃむしゃ食べている姿を見たときは衝撃でしたね。
まとめ:アマガエルを飼育して初めて知ったことは多かった!
本記事ではアマガエルを飼育して初めて知った7つの内容についてお伝えしました。
- アマガエルは皮膚の色がいろいろ変わる
- アマガエルは木の枝が大好き
- アマガエルは胃袋を吐き出せる
- アマガエルは鳴き声が大きい
- アマガエルが壁に張り付くとき、お腹も利用している
- アマガエルの天敵は多い
- アマガエルは頭サイズのエサもガッツリ食べる
身近なアマガエルですが、1年間飼育してみると、いろいろな気づきを与えてくれます。
そして、その気づきと真摯に向き合うことで、知見を広めることができました。
アマガエルは情報ネタも多く捕まえるのも簡単なカエルなので、子どもの自由研究に向いています。
しかし『自由』に研究できる点では、情報収集能力が高く、使えるお金も多い大人の方が、実は向いているかもしれません。
子どもの頃に生き物飼育に興味・関心があった方は、ぜひ自由研究も兼ねて、アマガエルも対象に入れてみてください。
当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。