アマガエルを野外飼育していくうえで一番の問題が冬をどのように越すか。
ネットを見ていると、冬眠は死亡リスクが高いので、冬は室内飼育が推奨されていますが、野外飼育で越冬させることも可能です。
本記事では複数のアマガエルを冬眠を成功させた方法をお伝えします。
- アマガエルを冬眠させるか迷っている
- アマガエルの死亡リスクを減らしたい
- アマガエルを冬眠させるための準備や飼育法が知りたい
- アマガエル冬眠明けの飼育法が知りたい
このような方はぜひ読んでみてください。
アマガエルの特徴を再確認
まずは野生下のアマガエルの特徴を再確認しましょう。
野生のアマガエルの平均寿命は4年
野生アマガエルの平均年齢は概ね4年。
飼育下では10年という話も出てくるのは、飼育下では天敵に捕食されることがないからです。
アマガエルはウシガエルやツチガエルと違い、成体で越冬するため、野生下でもカエル姿で平均3回は越冬している計算になります。
野生下のアマガエルにおいて冬眠は、一生に一回の一大イベントでなく、毎年あるイベントなのです。
野生のアマガエルは土の中で越冬
アマガエルはカブトムシやコオロギと違い成体で越冬するわけですが、冬はどこに潜んでいるのか?
多くのアマガエルは土の中に潜って、寒い冬を乗り切っています。
土の中は地上と違い温暖差が緩くなるほか、天敵である鳥や小型哺乳類からも狙われない利点もあります。
土以外にも落ち葉の下や石の下に潜むこともあります。
アマガエルは寒いロシアにも生息
世間一般で言われるアマガエルの正式名称はニホンアマガエルなため、日本固有のカエルと思いきや、中国や朝鮮半島、ロシアの一部など寒い地域にも生息します。
アマガエルの分付図を調べると、ロシアのバイカル湖付近にも生息していることになりますが、バイカル湖近隣の都市であるイルクーツクの1月の平均気温はマイナス17度と極寒です。
そんな極寒の中では、たとえ土の中でも氷点下に達しますが、アマガエルが生息している以上、越冬している確たる証拠となります。
日本でも寒い地方に在住の方だと、アマガエル冬眠が難しいと感じるかもしれませんが、ロシアでも越冬できる凍結耐性のあるカエルなので、野外冬眠から目を背けてはいけません。
アマガエル冬眠飼育に必要なものを紹介
アマガエル冬眠するために必要なものは以下のとおり。
- 保水性に優れた柔らかい土(床材)
- 床材の保水性を支援する鉢底石
- 脂質の高いエサとエサケース
- 落ち葉など光を遮るもの
- 水分補給の場となる水容器
- 飼育環境を数値で可視化できる温度・湿度計
人によっては春夏の飼育グッズと変わりません。
アマガエルが潜れる保水性に優れた柔らかい土(床材)
野生下のアマガエルは土の中で冬眠します。
我が家で野外飼育していたアマガエルも冬は土の中に潜っていたことから、アマガエルを野外で冬眠させるなら土は必要不可欠となります。
土の種類ですが、保水性の高い腐葉土がおすすめですが、非力な個体だと地面を深く掘り起こせないこともあるため、腐葉土の上に水苔を敷くのもおすすめです。
朝、息が白くなる時期になってもカエルが地上で姿を見せている場合、床材が要因の1つの可能性があるので、こちらの記事を参考にしてください。
ヤシガラ系と腐葉土では保水性は大きく異なり、皮膚から水分を吸収するカエルの場合、腐葉土のほうが適しています。実体験としてヤシガラ系で冬眠させたアマガエルは土の中での死亡率が高かったです。
アマガエルが冬眠する床材の保水性を支援する鉢底石
鉢底石は植物を育てる際に排水性と通気性を確保するために使われますが、アマガエル冬眠飼育では土の保水性を確保するために活躍します。
1~2㎝の鉢底石を敷いて鉢底石の高さ以上まで水を浸すことで、土が飼育ケース底の水を吸収し乾燥状態を防ぐことができます。
そのまま入れると土の入替作業時に鉢底石と土の分離が大変なので、鉢底石は洗濯ネットに入れて設置することをおすすめします。
アマガエルの蓄えとなるエサ
カエルのエサでよく論争になるのが、ミルワームの存在ですが、冬眠前のアマガエルにはぜひミルワームを主体にしてもらいたいです。
理由としてミルワームは脂肪が高いため、カエルを手軽に太らすことができ、冬眠中において死亡率が高い餓死の確率を減らせるからです。
ただし、ミルワームはコオロギと比較して場合、カルシウムに対してリンの比率が高いため、普段からミルワームに高品質かつカルシウム食材を与え(ガットローディング)、カエルのエサとして提供する際は、カルシウムパウダーを振りかける(ダスティング)ことが求められます。
我が家ではガットローディングとしてかつお節や煮干しを与え、カエルに差し出す前に市販のカルシウムパウダーを振りかけています。
ミルワームは冬の寒さでも生存できるので、冬眠明けを見計らってエサケースに入れておくことで、土から出てきたアマガエルがいつでもエサを食べられる環境を作れます。
アマガエルが身を隠せる落ち葉・植物
普段の飼育でも言えることですが、アマガエルは身を隠す場所がないとストレスが溜まります。
アマガエルはたくさん食事をした後は、身を隠して消化に費やします。(食事直後は動きが鈍り、天敵と遭遇したときに逃げられないため)
しかしながら、身を隠す場所がないと、常に緊張状態となるため、食事は控えめになってしまいます。
冬眠前にガッツリ食べさせることがアマガエル冬眠成功の秘訣ともいえるので、エサを与えることはもちろん、エサを食べた後に身を隠す植物も設置してあげましょう。
エサがコオロギだと身を隠すものが多いとコオロギを身を潜めるデメリットが出てきますが、エサケースに入れたミルワームであれば身を隠すものが増えても問題ありません。
アマガエルの水分補給となる水容器
冬眠前の10~11月、冬眠明けの3~4月はもちろんですが、冬眠中でも温度と湿度が高い日であれば1月でもアマガエルは土から出てくることはあります。
土から出てきたアマガエルは活動期と同様に水に浸かり水分を補給することがあるため、水容器は冬眠中も必要です。
アマガエルケースの状況を確認する温度(湿度)計
アマガエルも個体によって土に潜るタイミングが異なってきますし、一度土に潜っても、再び出てくることがあります。
これらの行動は気温が関係していることが多いので、温度計があると、カエルが冬眠しないときの原因追及も行いやすいです。
湿度計もカエルの適正湿度を下回る秋から冬にかけては役立ちます。
夏は高湿に気を配りますが、秋冬は低湿に気を配る必要があるからです。
アマガエル冬眠飼育を冬眠前・冬眠中・冬眠明けに分けて解説
アマガエルを野外冬眠させる場合、冬眠中の管理はもちろん、冬眠のための事前準備やアフターフォローも必要になってきます。
アマガエル冬眠用の飼育レイアウト
アマガエルの冬眠させるための飼育レイアウトの一例です。
具体的に解説していきます。
床材
腐葉土を使用。
土の深さは5㎝ほど。
上記画像では使用していませんが、秋の低湿対策として、土の上に水苔を敷くのもおすすめです。
鉢底石
上記画像では見えませんが下に鉢底石を敷いています。
冬眠中は鉢底石の高さまでは常に水を入れておくことで、ケースの底からも土全体に水を浸透させることができます。
アマガエル冬眠中の一番の死亡事故が水不足なので、水不足対策の一環としてケースの底を水で充足させておくことは必要不可欠です。
植物
公園で拾った葉(落ち葉)を使用。
冬眠のためにエサをたくさん食べたアマガエルが身を隠せる環境を提供。
冬眠中は光を遮る役割も果たしています。
水容器
冬眠前後はもちろん冬眠中も水分補給のために水に浸かることがあるので、冬眠中も水は入れておきます。
水容器の周りで冬眠するアマガエルもいるため、位置は固定しておきます。
エサケース
冬眠前後はミルワームは必要不可欠であり、いつでもアマガエルが食べられるように、エサケースに入れておきます。
アマガエル冬眠前の飼育法
アマガエル冬眠前に行うことは大きく3つです。
- たくさんエサを与える
- 冬眠しやすいレイアウトにする
- 飼育ケースと水容器の水を定期補充
順番に解説します。
たくさんエサを与える
僕のアマガエル冬眠失敗事例として、アマガエルが12月に突入しても土に潜ってくれず、やせ細って死なせてしまったこと。
なぜ、アマガエルが落ち着いて冬眠してくれなかったのか?
調べてみると、アマガエルなどの冬眠生物は長い冬眠に備えてエネルギーを蓄えるのですが、蓄えが不十分だと感じると、本能的に死を察知するみたいで、エネルギー確保のために冬でもエサを求め冬眠しないのです。
そのため、9月以降はエサの頻度を上げ、かつ脂質が高いミルワームも与えていきます。
アマガエルは太ると見た目ですぐわかるので、蓄えが十分かどうかの判断は難しくありません。
アマガエルが土に潜った後も、日中は土から出てきて活動していることがあるため、当面はミルワームをエサケースに入れておいて、いつでも食べられる環境を整えておきましょう。
少し湿らせたかつお節をエサケースに一緒に入れておけば、ミルワームも長生きしますし、11月以降であれば代謝も下がり、さなぎになりにくくなります。
レイアウトを冬眠仕様にする
アマガエルは樹上棲カエルのため、床材は雑になりがちですが、冬眠は土の中で行われるので、秋以降はアマガエルが土に潜りやすいに腐葉土に切替。
また我が家のアマガエルを観察していると、最初は容器の隙間や枝の物陰にジッと隠れて、その後に潜るパターンが多かったので、身を隠しやすいもの(落ち葉や枝など)を入れてあげると効果的です。
飼育ケースと水容器の水の補充
週2回は飼育ケース底の水位を確認。
アマガエルが土の中に潜っていても水分を体から吸収できるように、定期的に飼育ケースの底に水を入れて土の保水性を高めます。
飼育ケース底に直接水を補充できるように、飼育ケースの角に1円玉程度の大きさな穴をつくっておくことをおすすめします。
一度土に潜っても、たまに地上に出てきて、水容器に浸かっている姿を何度か目撃したので、水容器の水も補充しておく必要があります。
アマガエル冬眠中の飼育法
アマガエル冬眠中にやることは1つだけです。
- 飼育ケースと水容器の水を定期補充
アマガエルは冬眠中も皮膚から僅かながら水分を吸収をしています。
したがって、十分なエサを与えて冬眠させても、水分を与えなければ、脱水症状で死亡します。
週1回でよいので飼育ケース底の水位を確認して水が減ったら補充。
ついでに上からもコップ1杯程度の水を振りかけます。(落ち葉などをどかす必要はない)
アマガエルが眠る土へ上下から浸透させることが目的です。
前述した通り、1月でも温度・湿度が高い日は出てくることがあるので水容器の水も減ったら補充します。
冬場は細菌も繁殖しにくいので水容器の水の入れ替えは月1回で十分です。
アマガエル冬眠明けの飼育法
アマガエルが土から出てきたら、やるべきことは3つです。
- エサを少しずつ与える
- ケースを日当たりの良い場所に移動させる
- 水に浸かれる場所をつくる
エサを少しずつ与える
冬眠明けのアマガエルは、やせ細っていることが多く、お腹も空かせています。
そのため、まずはエサを与えて体力を回復させる必要がありますが、冬眠明けは消化器官もまだ本調子でないため、冬眠前のようにエサをガッツリ与えるのは厳禁です。
エサの大きさも消化器官に負担がかからないように、通常時より1サイズ下のエサを与えましょう。
コオロギやミルワームであれば脱皮直後の柔らかい状態が最適です。
エサに関しては、コオロギも良いですが、冬眠明けのアマガエルは敏感な動きが出来ず、食べたくても捕まえられない可能性があるので、確実に捕食できる小さなミルワームのほか、高エネルギーのハニーワームがおすすめです。
我が家ではカエルのほかカナヘビにも冬眠明けのエサとして、ハニーワームを使っています。
ケースを日当たりの良い場所に移動
アマガエルが土から出てきたら、早く日常の生活に戻ってもらうために、温かい日当たりの良い場所に移動させましょう。
アマガエルの体が温まることで消化器官が活発化し、エサをしっかり食べることで元の生活に戻っていきます。
水に浸かれる場所を作る
3月だとまだ寒い日が続くので、水分補給は霧吹きでだけでも十分な意見もありますが、冬眠明けの場合、脱水症状に陥っている可能性もあるため、水容器の水は冬眠中同様に置いておきます。
普段はあまり水に入らないアマガエルですが、冬眠前後は意外と水に浸かっている姿を見かけます。
3月になったら水容器は一度掃除して綺麗な水に入れ替えておきましょう。
アマガエル冬眠飼育まとめ
本記事ではアマガエルの冬眠飼育方法についてお伝えしました。
- 保水性に優れた柔らかい土(床材)
- 床材の保水性を支援する鉢底石
- 脂質の高いエサとエサケース
- 落ち葉など光を遮るもの
- 水分補給の場となる水容器
- 飼育環境を数値で可視化できる温度・湿度計
- たくさんエサを与える
- 冬眠しやすいレイアウトにする
- 飼育ケースと水容器の水を定期補充
- 飼育ケースと水容器の水を定期補充
- エサを少しずつ与える
- ケースを日当たりの良い場所に移動させる
- 水に浸かれる場所をつくる
ニホンアマガエルは日本だけでなく、ロシアなど寒い地方にも生息しているカエルなので、極寒の冬を乗り越える力は備わっています。
アマガエル冬眠前も普段の飼育と比較して、特段に大変なわけでなく、冬眠中はエサ代もかからないので、ぜひアマガエルの野外越冬に挑戦してみてください。
当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。