カエル捕りで法律面で注意しないといけないのが、特定外来生物であるウシガエルの存在。
ウシガエルは食用として持ち込まれた北アメリカ原産の外来種で、別名ショクヨウガエルと呼ばれています。
ウシガエルは外来生物法による規制があり、飼育はもちろんNGですが、生きたまま運搬することもNGです。
そのため、普段見かけないカエルを捕まえて、そのまま家に持ち帰ったら実はウシガエルだった場合、生きたまま運搬したことになるため法律違反となります。
法律違反を防ぐためには、捕まえたカエルがウシガエルではないことを確認する必要がありますが、ここで1つ問題が発生します。
成体ウシガエルであれば、大きさからすぐに見分けがつくのですが、幼体の場合、トノサマガエルより小さく、また成体ヌマガエルとは見た目も生態環境も似ているため、見分けが難しいのです。
そんなわけで本記事ではウシガエルの見分け方について解説していきます。
普段、カエル捕獲に参加されない親御さんも、子どもの法律違反を避けるために、ぜひ目を通してください。
ウシガエルを見分ける4つのポイント
ウシガエルを見分けるポイントは4つあります。
- 水に対する依存度が高い
- 顔の部分に緑色が入っている
- 体に黒い斑点がある
- 鼓膜が目より大きい
順番に解説していきます。
ウシガエルは水に対する依存度が高い
カエルと聞くと水のイメージが思い浮かぶ方も多いと思いますが、意外と水に依存しないカエルもいます。
例えば身近なアマガエルは普段は草木に生息しており、積極的に水の中に飛び込みませんし、飛び込んでも水の中での泳ぎは遅いです。
またヒキガエルも、普段は地面の上にいることが多く、水の中にはほとんど入りません。
一方、ウシガエルは水に対する依存度が高く、普段から水辺に生息しています。
また、泳ぎに特化した身体構造であり、ヒレや後ろ足の筋力が発達しており、水中を高速で泳げることはもちろん、外敵から姿を隠すときも、草木でなく半水棲のトノサマガエル同様に水中に潜伏することが多いです。
水中を高速で泳ぎ、さらには潜水して身を潜めるのは、ウシガエル・トノサマガエルなどの水辺に特化したカエルの特徴です。
田んぼを歩いているときにドボンと水に飛びこむ大きな音がした場合、トノサマガエルかウシガエルの可能性が高いです。
ウシガエルは顔の部分に緑色が入っている
ウシガエルの見た目の特徴として、顔の部分に緑色が入っている特徴があります。
この緑色の特徴は成体だとすぐに分かりますが、幼体の場合は間近で見ないと分かりにくいです。
趣味の自然観察、デジカメ持ってお散歩より引用
実際に自分も幼体ウシガエルを誤って捕まえたことがありましたが、ケースに入れてじっくり見ないと、気づくのが難しいです。
幸いにも外来生物法では、ウシガエルを誤って捕まえても、殺すかその場で逃がせば、法律違反にはなりません。
したがって、幼体ウシガエルの疑惑にある中型のカエルを捕まえた場合、一旦ケースに入れて、顔の部分をじっくり見てから、ウシガエルかどうか判断する方法は有効です。
ウシガエルは体に黒い斑点(斑紋)がある
ウシガエルはオタマジャクシの頃から体に黒い斑点を持つ特徴があり、黒い斑点は他のオタマジャクシとの見分けるときでも役立ちます。
黒い斑点はカエル変態後も体や手足に残ります。
成体になると点が大きくなり、斑紋のようになるウシガエルもいます。
YahooJapanキッズ図鑑より引用
ウシガエルは鼓膜が目より大きくなる
アマガエルにもトノサマガエルにもウシガエルにも共通するのが、目の後ろに鼓膜があること。
相違する点はウシガエルの鼓膜は成長と共に大きく発達し、目の大きさを超えること。(眼径の0.9~1.7倍)
また、鼓膜と体の境界線が鮮明なのもウシガエルの特徴と言えます。
ただし幼体の頃は鼓膜は小さいため、鼓膜での判断は難しく、むしろ鼓膜と体の境界線のほうが見分けるポイントになってきます。
『線』はカエルを見分ける要素となることが多いよ。
ウシガエルと見間違えやすいカエル
ここからは野生下でウシガエルと見間違えやすいカエルとの見分け方について、ウシガエルの特徴を交えながら解説していきます。
ウシガエルとヒキガエルの見分け方
ウシガエルの最大の特徴と言えば国内最大級(111~183㎜)のサイズであること。
一方、ヒキガエルも国内種では最大サイズ(43-162mm)のカエルであるため、パッと巨大なカエルを見ると見間違える可能性があります。
ウシガエルは肌がゴツゴツしていない
ウシガエルは体中に斑紋はあるも、イボのような突起物をもつ個体は少ないです。
ヒキガエルはイボやしわを当たり前のようにもっています。
肌質が大きく異なるため、間近で見れば見間違える可能性は少ないです。
ウシガエルは水を好む
ウシガエルはトノサマガエル同様に水を好む半水棲のカエルであり、普段は水のある場所にいます。
ヒキガエルは地表性のカエルであり、水の中に積極的に入ることはないですし、近くに泳げるような水場がない場所にも生息しています。
ウシガエルは水陸ともに機敏
ウシガエルは後ろ足が非常に発達しており、カエルらしいジャンプ力を見せてくれます。
また、後ろ足のヒレも発達していることから水中でもスイスイ泳ぐことができますし、水中に身を潜めることもできます。
ウシガエルはゲンゴロウなど水中で機敏に動く昆虫を、水中で捕らえるぐらい水が得意なカエルだよ。
さらにウシガエルは見た目とは裏腹に憶病な性格なので、天敵を察知すると待ち構えることなく即座に逃げます。
ヒキガエルは地表性のカエルであり、泳ぎは苦手としています。
さらに手足が短いことから陸上でも素早く動けず、素手で簡単に捕まえられるので、行動面での見分けは容易です。
ウシガエルとトノサマガエルの見分け方
トノサマガエルもウシガエルも同じアカガエル科の半水凄のカエルであることから、生活環境や身体構造は似ています。
ただし体の模様は相違点が多く、背中線のような決定打となる判別材料もあるため見分けは難しくありません。
ウシガエルに背中線はない
トノサマガエルは成体・幼体問わず高確率で背中線があります。
ウシガエルに背中線はないため、上からパッと見ても背中線の有無で判別がつきます。
なお、ウシガエルはアカガエル科のカエルにも関わらず、アカガエル科の特徴である背側線を持たないカエルとして有名です。
ただし、トノサマガエル属であるダルマガエルの中には背中線を持たない個体もいるため。背中線があるからウシガエルでないと判別はできるも、背中線がないからウシガエルとはなりません。
ウシガエルはお腹にも斑紋がある
トノサマガエルは体の外側には斑紋が多くありますが内(お腹)側は真っ白です。
ウシガエルはお腹にも斑紋のような模様をもっているため、真っ白とは言い難いです。
ただし、幼体ウシガエルの場合、お腹にちょっとしたブツブツがあるぐらいなので、お腹でも判別は難しいことがあります。
ウシガエルは鼓膜と体の境界線が鮮明
境界線に関しては画像で見たほうがわかりやすいです。
トノサマガエルは下記画像のように、鼓膜との境界線は斑紋が『く』の字のようになっているのが特徴です。
一方、ウシガエルは下記画像のように、鼓膜と体の境界が鮮明な線となっています。
余談となりますが、斑紋が 『く』の字 にならず直線になっているのが、同じトノサマガエル属のダルマガエルとなります。
ウシガエルとヌマガエルの見分け方
ウシガエル(幼体)とヌマガエルは生活環境も身体構造も非常に似ています。
さらに判別要素もパッと見ではわからないため、複数の要素から判断が求められます。
ウシガエルにイボはない
幼体のウシガエルに黒の斑点はありますが、イボなどの突起物はありません。
ヌマガエルの場合はイボなどの突起物があります。
ただし、イボがほとんどなかったり小さい個体もいるため、パッと見ただけではイボと斑点の見分けが難しいこともあります。
ウシガエルは顔に緑色が混じっている
ウシガエル(幼体)とヌマガエルの一番の違いは顔の色です。
ヌマガエルは全身が茶色っぽい色で緑色は入りません。
ウシガエルの場合は幼体でも顔の部分に緑色が入ります。
ただし幼体ウシガエルの場合は、外側は茶色で内側や側面がうっすら緑色になっていることがあるため、間近で確認しないと判別は難しいです。
ヌマガエルには独特の模様がある
ヌマガエルとよく似たツチガエルの判別方法にも用いますが、ヌマガエルには画像のように額の真ん中に独特の模様があります。
これはヌマガエルだけが持つ模様のため、もし額にこのような模様があればヌマガエルの可能性が高いです。
幼体ウシガエルの場合、体はまだ斑紋でなく斑点であるため、ヌマガエルのような模様は体はありません。
ウシガエルの見分けるポイントまとめ
本記事では特定外来生物であるウシガエルの見分けるポイントと、見間違えやすいカエルとの具体的な判別方法についてお伝えしました。
- 水に対する依存度が高い
- 顔の部分に緑色が入っている
- 体に黒い斑点がある
- 鼓膜が目より大きい
ウシガエルとヒキガエルの見分けるポイント
ウシガエルとトノサマガエルの見分けるポイント
ウシガエルとヌマガエルの見分けるポイント
繰り返しとなりますが、ウシガエルは特定外来生物であるため、生きたまま家に持ち帰ることも飼育することも違法行為となります。
知らなかったでは済まされない問題であるため、カエルを捕まえてくる子を持つ親もウシガエルの見分け方については熟知しておきましょう。
当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。