ヒキガエルの生息場所の情報をキャッチして、7月に子どもと捕まえに向かうも、そこにいたのは手のひらサイズの成体ヒキガエルでなくアマガエルの幼体サイズと変わらない、まだ尻尾の面影がある赤ちゃん(幼体)ヒキガエル。
とりあえず数匹持ち帰ってくるも、知識もなく準備もしておらず試行錯誤しながら飼育。
知識と準備不足ゆえに死なせてしまった個体もいましたが、2匹を野外飼育のみで無事育て上げたので、実際に行った飼育方法を飼育1年目活動期、飼育1年目冬眠期、飼育2年目活動期の3つのフェーズに分けてお伝えしてきます。
幼体ヒキガエル飼育に必要な飼育セット
エサ以外はどれも入手は簡単です。
小型と中型の飼育ケース
幼体ヒキガエル1年目の活動期の飼育ケースは、100円ショップで販売されている小さなケースがおすすめです。
理由は3つ。
- 飼育ケースが大きいとヒキガエルが餌を見つけられなかったり、逃げられて捕獲できないリスクがあるため。
- ヒキガエルはトノサマガエルやアマガエルのように大ジャンプはできないため、飼育ケースが狭くても体をぶつけてケガをする心配がないため
- 登り木や植木鉢などモニュメント設置が不要なため。
幼体ヒキガエルはどんどん大きくなるので、1年目の冬眠期からは1周り大きい飼育ケースに変えていきます。
床材
幼体ヒキガエルが野生下で生息する場所を再現するためにも床材は必需品です。
野外飼育であれば腐葉土がおすすめ。
室内飼育であれば赤玉土もおすすめです。
- サイフに優しい値段
- 保水性が高いので一定の湿度を保てる
- 排水性が高くカエルの尿も吸収してくれる
- 餌となるダンゴムシなどの棲み処にもなる
幼体ヒキガエルは成体と違い乾燥に非常に弱いので、保水性に優れた床材が求められます。
腐葉土を野外飼育で使用する場合は上記以外の利点として、虫が寄ってくることも挙げられます。
室内飼育であれば赤玉土のほかに、消臭機能があり湿った土を再現できるフロッグソイルもおすすめです。
底の浅いプラケース
幼体ヒキガエル1年目の活動期で使用。
幼体ヒキガエルがいつでも水分補給できるように水場を作りますが、深いと溺死する危険性があるため、体の1/3程度が浸かれる量の水を入れるケースが必要となります。
またヒキガエルは大きくジャンプをしないため、底が深いと出入りが大変なので底の浅いケースにします。
我が家で使っていたケースは底の深さが1㎝ほど。
水容器
ヒキガエルはどんどん大きくなるので、1年目の冬眠飼育レイアウト変更時に底の深さが3㎝ほどの水容器に入れ替えます。
ヒキガエルが水容器にあまり入らない場合は、水容器の一部を床材に埋没させて、ヒキガエルが億劫なく出入りできる高さに調整してあげましょう。
小型のエサ
幼体ヒキガエル飼育が大変と言われる理由はエサです。
幼体ヒキガエルがどんどん大きくなるということは、それだけたくさんのエサを用意する必要がでてきます。
さらに幼体ヒキガエルは非常に小さいうえに、幼体のトノサマガエルやヌマガエルのように大きく口をあけてガッツリ食べるようなこともしないため、小さなエサを地道に与えていくことになります。
- トビムシ
- アブラムシ
- ショウジョウバエ
- ダンゴムシの赤ちゃん
- ワラジムシの空ちゃん
- コオロギの赤ちゃん
どれも調達が一筋縄ではありません。
ネット通販で販売されているSSSサイズのコオロギですら、変態直後のヒキガエルには大きいため、事前にエサを用意しておく必要があります。
わりと見つけやすく一度に大量入手できるアブラムシが一般的。(アブラムシは茎にくっついているので捕獲も楽)
野外飼育であれば腐葉土を使用して、羽虫をおびき寄せるのも手法の1つです。
我が家ではトカゲケースで飼育していたダンゴムシが繁殖しており赤ちゃんダンゴムシも複数いたので、ダンゴムシファミリーを土ごと幼体ヒキガエルケースに移し変えました。
1か月~1か月半ぐらい経ち、少し大きくなってこれば、ショウジョウバエやSSSサイズのコオロギなどの販売品も食べられるようになるのでエサに関しては楽になります。
冬眠前までこれば小さめのミルワームやSサイズのコオロギもエサ対象になるので、エサ調達のコストも抑えらえるようになります。
鉢底石
鉢底石は植物を育てる際に排水性と通気性を確保するために使われますが、ヒキガエル飼育では土の保水性を確保するために1年目の冬眠飼育以降から使用します。
1~2㎝の鉢底石を敷いて鉢底石の高さ以上まで水を浸すことで、土が飼育ケース底の水を吸収し乾燥状態を防ぐことができます。
またヒキガエルが土を底まで掘り起こせば水分を補給できるようになります。
そのまま入れると土の入替作業時に鉢底石と土の分離が大変なので、鉢底石は洗濯ネットに入れて設置することをおすすめします。
2年目以降のヒキガエルはたくましくなり、他のカエルより乾燥に対する耐性は強くなりますが、爬虫類ほどではないので飼育ケースの底は水で満たしておいたほうが無難です。
植木鉢(陶器製)
植木鉢は2年目以降の隠れ家として役立ちます。
他のカエルでは植物を隠れ家として設置することが多いですが、ヒキガエルの場合は土を掘り起こしてしまうことが多いので植木鉢の方がよいです。
土に潜る際も植木鉢の下を利用するなど、潜っているときも植木鉢を有効に使用してくれます。
植木鉢は陶器製とプラスチック製がありますが、ヒキガエルは力が強いので重みがある陶器製をおすすめします
幼体ヒキガエルの飼育レイアウトと飼育方法
フェーズごとに飼育レイアウトや飼育方法も変わっていきます。
ヒキガエルはカエルのなかでは乾燥に強いと言われていますが、幼体ヒキガエルに関しては他のカエル以上に乾燥状態にならないように注意する必要があります。
変態1年目の活動期飼育レイアウト
床材は保水性に優れた腐葉土と落ち葉を使用。
落ち葉はヒキガエルの隠れ家の役割のほか、ダンゴムシなどのエサたちが霧吹きの水を直接浴びることを防ぐ役割もあります。
底の浅いケースにはヒキガエルが溺れない程度の水を入れます。
また、ダンゴムシなどのエサが溺れないように落ち葉も入れておきます。
変態1年目の活動期飼育方法
幼体ヒキガエル1年目の活動期飼育で行うべきことは3つあります。
- 給餌
- 霧吹き
- 水の付け足し
給餌
毎日エサが食べられるようにしておきます。
エサを与えた翌日のエサの減り具合を見て、追加で補充していきます。
個体によってエサのより好みがあるので、なるべく多くのエサを与えたほうがよいです。
エサの減り具合が悪い場合は、1サイズ小さめのエサに切り替えて様子を見ます。
成体の場合だとカルシウムパウダーをエサに振りかけて与えることをおすすめしますが、幼体のエサは極めて小さく、ダスティングをするとエサが弱ってしまうこともあるため、無理してダスティングをするよりはカルシウムを多く含んだダンゴムシやワラジムシの赤ちゃんを与えたほうがよいです。
霧吹き
幼体ヒキガエルは乾燥に弱いので霧吹きを毎日行います。
幼体ヒキガエルのエサである小型の虫は霧吹きの水でも死亡する可能性があるので、エサにあまりかからないように注意しましょう。
水の付け足し
ケースの水は少ないため蒸発しがちです。
幼体ヒキガエルがいつでも水に浸かり水分を吸収できるように、給餌の際に水が不足していたら足してあげましょう。
変態1年目の冬眠期の飼育レイアウト
10月中旬頃になり、半袖で肌寒い日になってきたら飼育レイアウトを冬眠用に変更します。
水容器やエサケースを設置するほか、ヒキガエルも大きくなってくるので飼育ケースは一回り大きいものに変えます。
床材は保水性に優れ、なおかつ潜りやすい腐葉土を使用。
幼体ヒキガエルも成体同様に土の中に潜って冬眠するので、全身が余裕で潜れるように土の深さは5㎝ほど。
冬眠レイアウト変更時に一度土は入れ替えます。
土を掘り起こせば水分を補給できるように、飼育ケースの底に鉢底石を敷いて水を浸しておきます。
霧吹きは不要ですが、いつでも水分を補給できるように水容器のケースに水を入れておきます。
また冬眠中は暗いほうがよいことから、日光を遮る落ち葉も投入します。
落ち葉投入の注意点として、エサであるコオロギも落ち葉を利用して身を隠すので、コオロギを与えている間は落ち葉投入は控えめのほうがよいです。
変態1年目の冬眠期飼育方法
幼体ヒキガエル1年目の冬眠期飼育で行うべきことは3つあります。
- 給餌
- 水容器の水を補充
- ケース内の水の補充
給餌
冬眠前になれば体格も大きくなりミルワームやSサイズのコオロギも捕食できるようになるので、給餌の難易度は下がります。
冬眠前は活動期以上にガッツリ与えていきます。
冬眠前のエサは、脂質が高く、コオロギより寒さに強く、エサケースの中に留まってくれるミルワームがおすすめです。
エサが足りないと長い冬眠生活を送ることができません。
寒くなってもなかなか土に潜らない場合、エサが不十分な可能性もあります。
3月になり暖かくなるとヒキガエルが土から出てくるので、いつでもエサを食べられるようにエサケースにミルワームを入れて様子見をします。
冬眠明けは高カロリーのハニーワームもおすすめですが、エサケースに入れも簡単に脱走するため、ピンセットで直接与えるかヒキガエルの目の前に置く必要があります。
水容器の水を補充
冬でも温かい日や湿度が高い日はヒキガエルは地上に出てきます。(上記飼育レイアウトは1月中旬の暖かい雨の日)
ヒキガエルが土から出てきた際、水分を補給できるように水容器の水は一定量を維持しておきます。
冬は細菌が繁殖しにくいので、水は入れ替えは不要で付け足しで十分です。(秋は週1回程度で水を入れ替え)
ケース内の水の補充
飼育ケースの底を週1回は確認して水位が低くなっていたら、鉢底石の高さと同じぐらいまで水を付け足します。
水を補充する際は、ケース内の角を掘り起こしダイレクトに飼育ケース底に水を補充しつつ、上からも振りかけます。
土の下層部と上層部から水を浸透させていくことで、土全体に水が行き渡るようになります。
変態2年目の活動期飼育レイアウト
冬眠飼育レイアウトと大きな違いはありません。
飼育ケースは冬眠飼育レイアウトと同サイズのものか一回り大きいもの。(5㎝以上の床材と植木鉢が入るサイズ)
ヒキガエルは地表棲のカエルであり、土に潜ることが多いため、床材は保水性に優れ、掘り起こしやすい腐葉土を使用。
土の深さは全身が余裕で潜れるように5㎝以上にします。
土を掘り起こせば水分を補給できるように、飼育ケースの底に鉢底石を敷いて水を浸しておきます。
霧吹きは不要ですが、いつでも水分を補給できるように水容器のケースに水を入れておきます。
隠れ家として植木鉢を新たに導入。
変態2年目の活動期飼育方法
幼体ヒキガエル2年目の活動期飼育で行うべきことは5つあります。
- 給餌
- 排泄物の除去
- 水容器の水の入れ替え
- ケース内の水の補充
- 床材の入れ替え
給餌
ヒキガエルは変態2年目以降もまだまだ大きくなるため、エサの頻度は2日に1回。
冬眠明けはエサケースにミルワームを入れて食べる量を確認します。
ミルワームだけでは栄養バランスが悪いので、コオロギやダンゴムシの成体も与えていきます。
注意点としてヒキガエルは機敏に動けないので、コオロギに関してはイエコオロギより素早さが遅いフタホシコオロギの方がよいです。
普段は地面に生息する生物をエサとするので、ミミズも積極的に捕食します。
ヒキガエルはトノサマガエルやヌマガエルのように大きな口を開いたり、食らいつくような食べ方はしないので、エサはやや小さめの方(頭の1/3~1/2サイズ)がよいです。
排泄物の除去
幼体ヒキガエルも2年目になると大きくなるので、排泄物の除去も行う必要が出てきます。
排泄物の放置は衛生状態の悪化に繋がるので、給餌のついでに排泄物(糞)を除去し、排泄物は周囲の土ごと除去します。
腐葉土の場合、糞は見つけにくく放置になりがちなので、定期的に表面の土を掘り起こして糞が地中に埋まるようにします。
水容器の水の入れ替え
給餌と排泄物の除去のついでに水容器の水も入れ替えします。
ヒキガエルは体に土をつけたまま水容器に入るため、水容器の中で土が溜まってきますし、水の減りも早いので、水容器の水はこまめに入れ替えする必要があります。
水位に体の半分以上が浸かれるぐらいが目安です。
溺死が心配であれば、水を入れた後に実際にヒキガエルを入れて様子を見ましょう。
掴めるように小さな木の枝を入れておくのもよいです。
ケース内の水の補充
冬眠飼育期同様に飼育ケースの底を定期的に確認して水位が低くなっていたら、鉢底石の高さと同じぐらいまで水を付け足します。
水を補充する際も、冬眠飼育期同様にケース内の角を掘り起こしダイレクトに飼育ケース底に水を補充しつつ、上からも振りかけて、土全体に水が行き渡るようになります。
床材の入れ替え
赤玉土や腐葉土の場合、月1回を目安に土と水の入れ替えをします。
色が黒い腐葉土だとぱっと見ても汚れが分からないですが、床材は糞やエサの残骸などで意外と汚れているほか、カエルの尿も含まれているので再利用はせず新品に取り換えます。
鉢底石は洗って再利用で大丈夫です。
床材の入れ替え時には並行して水の総入れ替えもします。
床材が土の場合、飼育ケースの側面も泥水で汚れるので掃除しましょう。
幼体ヒキガエル飼育の注意点
幼体ヒキガエルと成体とでは飼育方法が異なる
- 幼体は非常に小さい
- 幼体は毎日給餌が必要
- 幼体は乾燥に弱い
- 幼体は壁をよじ登る
- 幼体は力はない
幼体と成体とでは上記の違いがあることから、ヒキガエル成体の飼育法で幼体飼育に挑むと失敗します。
飼育記事を参考にする際は、必ず幼体ヒキガエルを対象とした記事を選びましょう。
幼体ヒキガエルと成体ヒキガエルの特徴の違いについては別記事でお伝えします。
幼体ヒキガエル飼育は難易度が高い
- エサ調達が大変
- 乾燥に弱い
- エサは毎日
- 生存率が低い
- 毎日の飼育管理が必要
SNSを見ていると、カエル飼育に慣れた方でも幼体ヒキガエルの飼育で失敗していることがわかります。
実際に飼育してみてわかりましたが、最初の3か月は他の幼体カエルよりも難易度は高いので、万が一の覚悟をもって飼育に挑む必要があります。
難易度が高い具体的な理由については別記事でお伝えします。
幼体ヒキガエル飼育法まとめ
本記事では幼体ヒキガエル1年目の活動期と冬眠期、2年目の活動期の3つのフェーズにおける飼育方法についてお伝えしました。
幼体ヒキガエルは個体の強さも影響されるため飼育難易度は高めですが、その分成体まで育て上げたときの達成感は大きいです。
飼育環境が整っていない状態で捕まえてしまうと、バタバタしてしまうのでエサだけでも事前に確保しておきましょう。
当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。