なぜアマガエルは他のカエルに食べられる?エサと認識される3つの要因を解説

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なぜアマガエルは他のカエルに食べられる?エサと認識される3つの要因を解説
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我が家では複数のカエルを飼っているのですが、飼育ケースでよく見かける光景が以下画像の通り。

他のカエルに捕まったり、ときには現在進行形で丸呑みされていることもあります。

また自由研究も兼ねて、同じサイズの小柄なアマガエルとヌマガエルを同じ数だけ、大型カエル(トノサマガエル、ヌマガエル)がいる飼育ケースに入れた結果、アマガエルの方が減りが早かったこともわかりました。

なぜアマガエルは同じサイズのヌマガエルより狙われるのか。

本記事のテーマとなりますが、カエルの特性を調べた結果、3つの要因が浮上しました。

アマガエルが他のカエルに狙われやすい要因
  1. 視界に入りやすい
  2. ジャンプ動作までの時間が長い
  3. 色が目立つ

本記事ではカエルのエサ事情の知識を踏まえたうえで、上記3つの要因について解説していきます。

この記事でわかること

カエルのエサ事情を再確認

コオロギを丸呑みするヌマガエル

アマガエルが他のカエルから狙われやすいのは、言い換えればエサ認識されやすいことです。

そんなわけで、アマガエルが狙われる要因の説明の前に、まずはカエルのエサ事情3つについて簡単に説明していきます。

  1. カエルは視覚と聴覚でエサを認識する
  2. カエルは動くものをエサとして認識する
  3. カエルは夜でも色を見分けられる

カエルは視覚と聴覚でエサを認識する

エサの認知方法は生き物によって異なります。

視覚で認知が一般的ですが、魚は嗅覚を利用しますし、カエルの天敵であるヘビは熱でエサを認識します。

カエルの場合、視覚の他に聴覚も利用します。

カエルに耳なんてあった?と疑問が出てくるかもしれませんが、下記画像の通り、鼓膜はちゃんとあり聴覚はあります。

トノサマガエルの鼓膜

カエルの背面に生きたコオロギを入れると、コオロギの動く音に反応してカエルが即座に振り向くことから、視覚だけでなく聴覚もエサ認識のために利用していることがわかります。

カエルは動くものをエサとして認識する

先ほどの続きですが、カエルの背面にコオロギを入れた際、コオロギの動く音に反応して、カエルはコオロギのほうを向きますが、カエルがいざコオロギに襲い掛かるのは、コオロギが動きを見せた後です。

カエルの視界にコオロギが入っても、コオロギが微動だにしなければ、カエルもジッとしています。

コオロギに気がつく2体のトノサマガエル

カエルは動くものをエサとして認識しているからです。

言い換えると、静止しているものはよく見えていません。

カエルが静止しているものが見えない理由については、ヘルムホルツの仮説が有力です。

カエルが静止した物が見えないのは、変化しない刺激に神経が慣れてしまい、視覚系のニューロンが出力を調整して、その入力に対する反応をやめてしまうためだ。このような神経活動の適応は、神経活動で消費するエネルギーを節約する半面、知覚認識を狭めてしまう。

カエルは夜でも色を見分けられる

カエルと人間の視覚能力を比較した場合、カエルに大きく軍配が上がるのが、カエルは夜でも色を見分けられること。

僕らは真っ暗な夜に緑色と茶色のアマガエルを見ても区別がつきませんが、カエルは区別がつけられます。

『えっ、本当にカエルに夜でも色の見分けがつく能力があるの?』と思われるかもしれませんが、カエルは夜行性の生物であり夜に狩りもすることから、視覚が昼行性の生物より進化していても不思議ではありません。

なぜカエルが暗闇でも色を見分けるかは以下の説明の通り。

多くの脊椎動物の眼には1種類の桿体しか存在しないが、カエルの眼には通常の桿体に加えて、青色感受性錐体視物質を含む緑桿体を持つ。カエルの青色感受性錐体視物質は、ノイズを低く抑えることで暗がりでの視覚に適した性質を獲得している。多くの脊椎動物は暗がりで色を識別できないが、カエルは、緑色と青色の光にそれぞれ応答する2 種類の桿体を用いて、色識別をしていると考えられる。

カエルがもつ特殊な視覚機能の解明』を引用させていただいたものなので、興味のある方は参照してください。

カエルと人の視覚の違い

アマガエルが他のカエルからエサとして認識されてしまう3つの要因

アマガエルを食べるヌマガエル

カエルのエサ事情については何となく理解してもらえたと思いますので、ここから本題に入ります。

カエルのエサ事情を踏まえたうえで、なぜアマガエルが他のカエルに食べられるのか(エサとして認識されるのか)考察したところ、3つの要因が浮上しました。

  1. 視界に入りやすい
  2. ジャンプ動作までの時間が長い
  3. 色が目立つ

順番に説明にしていきます。

アマガエルは視界に入りやすい

ポトスに葉に載るアマガエル

アマガエルが他のカエルと違うのは立体移動することです。

具体的には地面から壁に張り付いたり、草木から地面に飛び降りたり、草木から草木に空中移動したりと、アクロバティックな動きをします。

他のカエルの場合、手足の吸盤がないため、ジャンプ移動はするもアクロバティックな動きとは言えません。

実際に幼体のアマガエルとヌマガエルを入れた際も、ヌマガエルは体2倍程度のジャンプ移動に対し、アマガエルは体10倍以上のジャンプ移動を行っていました。

そして、このアクロバティックな移動こそが、他の大型カエルの前では命取りになります。

大きく立体移動することで、他のカエルの視界に入る可能性が格段に上がるからです。

前述した通り、カエルは動体視力が極めて高いので、視界に入れば動きを捉えられてしまいます。

ジャンプ移動を視覚で捉えられたアマガエルはエサとしてロックオンされ、ロックオンされた後に再び動けば、他のカエルが食べに襲い掛かります。

また移動先が葉っぱの場合、着地した際に葉っぱが揺れてしまい、着地直後にそのまま動くものと認識され、食べられることもあります。

ココガエル

食べられない秘訣はカエルの前で『動き』を見せないこと。

実際に我が家で生き残っているカエルは感づかれないよう、普段は大型カエルの視界に入らない場所に隠れています。

アマガエルはジャンプ動作までの時間が長い

ジャンプの態勢を整えるアマガエル

アマガエルはヌマガエル・トノサマガエルと比較して、ジャンプ動作までの硬直時間が長いです。

田んぼでカエル獲りをすると実感しますが、ヌマガエルやトノサマガエルはジャンプ着地後から次のジャンプ動作まで硬直時間がほとんどない連続ジャンプをするため、目でしっかり追わないとすぐに見失います。

一方、アマガエルは体のわりにジャンプ力は凄いのですが、ジャンプ着地後にすぐにジャンプができないため、手で簡単に捕まえることができます。

そして、この硬直時間こそが命取りの原因になります。

トノサマガエルやヌマガエルを飼育してわかったことが1つ。

それは意外とエサ捕獲に失敗していること。

コオロギに飛び掛かるも食べ損ねる姿を何度も目撃しました。

食べ損ねた際、トノサマガエルやヌマガエルは一旦態勢を整えるため、その間に高速移動で草などの障害物に隠れることができれば、助かる可能性は高まります。

しかし、アマガエルは硬直時間が長いがゆえに、トノサマガエルやヌマガエルに態勢を整える時間を与えてしまい、運よく第一波の襲撃から逃れても、第二波の襲撃で捕まってしまうことが多々ありました。

また、襲撃から逃げる際に他のカエルの視界に入るような大ジャンプをしてしまい、他のカエルにもロックオンされることもしばしばありました。

ココガエル

アマガエルをRPGゲームで例えるなら、凄い強力な魔法(大ジャンプ)を使えるけど、チャージタイム(詠唱時間)が長く、無防備なチャージタイム中が一番危険な状態である大魔導士みたいだね。

アマガエルは色が目立つ

土の上では色が目立つアマガエル

前述した通り、カエルは夜でも色を見分ける能力があります。

したがって、他のカエルから身を守る手段として『保護色』は強みとなります。

アマガエルは『保護色』の能力は高く、他のカエル以上に皮膚の色を変えることができますが、いつも保護色を発動しているわけでなく、活動期は緑色の状態が多いです。

この緑色の状態は葉っぱの上でジッとしていれば目立ちにくいです。

しかし、地面・壁・枝にひっついているときは、緑色は目立ってしまいます。

したがって、夜でも色の識別能力のあるカエルの前では、朝夜問わず、色で目立つアマガエルは狙われやす存在になるわけです。

ココガエル

小型アマガエルと同じサイズである小型ヌマガエルの皮膚色は床材と似た茶色であり、ジャンプも小柄なので、保護色が活かされているうえに視界にも入りにくいことから、アマガエルと比較して狙われにくいと思われます。

まとめ:アマガエルは他のカエルからエサ認定されやすい

アマガエルが狙うトノサマガエル
カエルのエサ事情
  • カエルは視覚と聴覚でエサを確認する
  • カエルは動くものをエサとして認識する
  • カエルは夜でも色を見分けられる
アマガエルが他のカエルから狙われる要因
  • 視界に入りやすい
  • ジャンプ動作までの時間が長い
  • 色が目立つ

カエルを飼育してみると新たな発見も多く、大人になっても好奇心を刺激してくれます。

アマガエルはカエルの中でも飼育ハードルは低い分類に入るので、興味がある方は飼育にもチャレンジしてみてください。

当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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