なぜ幼体トノサマガエルの越冬(冬眠)飼育は難しいのか?3つの理由と対策を解説

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なぜ幼体トノサマガエルの越冬(冬眠)飼育は難しいのか?3つの理由と対策を解説
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トノサマガエル幼体はアマガエル、ヒキガエル、ツチガエルなどの幼体カエルより体が大きく、エサの確保も比較的容易であることから、活動期の飼育のハードルは低めです。

ただし、幼体トノサマガエルを野外で越冬させようとするとハードルは一気にあがります。

僕もカエル飼育2年目までは技量不足ゆえに、幼体トノサマガエルを越冬中に死なせてしまいましたが、飼育感覚を掴んだ3年目では1匹も死なせることなく冬を越すことができ、春も無事乗り越えることができました。

本記事では幼体トノサマガエルの越冬(冬眠)飼育が難しい3つの理由と具体的な対策について解説していきます。

ココガエル

最も大事な対策は飼育ケース内の土を乾燥させないことだよ。

この記事でわかること

幼体トノサマガエルの越冬(冬眠)飼育が難しい理由

  1. エネルギーを十分に蓄えられない
  2. 地中深くまで潜れない
  3. 成体と比較して目覚めが早い

エネルギーを十分に蓄えられない 

幼体トノサマガエルは成長段階であることから、代謝は高く、脂肪も付きにくいです。

カエルは冬眠モードに入ればほとんどエネルギーを消耗しないと言われていますが、冬眠の直前・直後は動くことでエネルギーを消耗しますし、冬眠中も温度変化が生じればエネルギーは消耗します。

また冬眠期間中である真冬の1月でも、暖かく雨で湿度が高い日だと姿を見せることもあります。

したがって蓄えが少ない幼体トノサマガエルは、冬眠するまでに時間がかかったり冬眠中に異変があったりすると、エネルギー不足で死亡するリスクが高まります。

地中深くまで潜れない

トノサマガエルは土に潜って冬眠します。

我が家の成体トノサマガエルの冬眠事情を観察してみると、10㎝以上潜って越冬していました。

地中深くまで潜った方が温度・光の変化の影響も受けにくく、音も静かです。

幼体トノサマガエルも地中深くまで潜ってほしいところですが、残念ながら力が弱いことから、あまり深く潜れません。

浅いところだと温度、音、光、雨(水・霧吹き)などの影響を受けて、冬眠が中断されるリスクがあるため、死亡するリスクが高まります。

成体と比べて早く目覚めやすい

我が家の成体トノサマガエル成体は10月初旬~中旬に土の中に潜り、4月下旬からGWまで土の中にいます。(毎年GWに土の入れ替えをするために強制起床させています)

一方、幼体トノサマガエルは11月に入っても姿を見せていることもあり、また目覚めも3月と成体と比較すると早いです。

幼体トノサマガエルの冬眠期間が短い理由は判明していませんが、十分なエネルギーを蓄えられず長い冬眠は本能的に危険と認識していること、地中浅くで冬眠するため様々な影響を受けることで、冬眠から目覚めやすいからだと思います。

飼育するうえでハードルが高いのが、早い時期に目覚めてしまう場合です。

2月・3月の暖かくなったときに目覚めて地上に出てきても、寒くなったら再び土の中に潜るため余分なエネルギーを使います。

また、冬眠明け直後は消化器官もまだ本調子でないことから、活動期のように積極的にエサを食べるわけでもなく、寒さが戻ったらエサを食べずに再び土の中に戻ってしまうため、十分なエネルギーを補給できず死亡するケースがあります。

幼体トノサマガエルの越冬飼育レイアウト

幼体トノサマガエルの飼育レイアウト

幼体トノサマガエルを越冬させるためには成体以上の対策が求められます。

上記画像は実際に幼体トノサマガエルを越冬させた飼育レイアウトです。

実際の飼育レイアウトに基づいて、幼体トノサマガエルの越冬対策について解説します。

乾燥対策の必需品である鉢底石

幼体、成体問わずカエルの冬眠飼育でおすすめしたいのが鉢底石。

鉢底石は植物を育てる際に排水性と通気性を確保するために使われますが、カエル飼育では土の保水性を確保するために使用します。

1~2㎝の鉢底石を敷いて、鉢底石の高さ以上まで水を浸すことで、土が飼育ケース底の水を吸収し乾燥状態を防ぐことができます。

幼体トノサマガエル飼育レイアウト断面図

横から見た飼育ケース

また、カエルは水分をお腹部分から吸収するため、土の上から水を浸透させるより、土の下から水を浸透させた方が効果的です。

カエルは乾燥に弱い生き物のため、冬眠中に乾燥状態になると、土の中でミイラ化してお亡くなりになります。

冬場は湿度が低く乾燥しやすいうえに、カエル自ら水場に入って水分補給もできない(寒くて動けない)ため、土を常に湿らせた状態にしておくことが冬眠成功の秘訣とも言えます。

保水性と潜りやすさを重視した腐葉土

いくら土に水を与えても、すぐに乾燥してしまう土では意味がありません。

乾燥しやすい冬場だからこそ、保水性の高い土を使うことでカエルの脱水症状問題に対処する必要があります。

また、力が弱い幼体トノサマガエルでも、掘り起こして潜ることができる柔らかい土が必要となります。

保水性を確保しつつ、柔らかい土に当てはまるのが腐葉土。

上記画像では鉢底石の上に腐葉土を4㎝ほど入れてあります。

土の高さが浅すぎると温度などの変化の影響を受けやすく、土の高さが深すぎると中間層に潜られた場合、水が行き渡りにくくなるため、幼体トノサマガエルにおいては土の深さは5㎝ほどが無難です。

光を遮断でき隠れ家にもなる落ち葉

一般的にカエルを野外で冬眠させる場合は、暗い場所で保管することが良いと言われてます。

落ち葉を入れることで直射日光を遮ることができますし、落ち葉は隠れ家にもなることから、カエルを落ち着かせる役割もあります。

落ち着かせないと動き回って余計なエネルギーを使用してしまい、餓死リスクが出てくるので、気軽に身を隠せるように落ち葉を飼育ケース全体に入れます。

野生下のカエルも、落ち葉の下を冬眠スポットとしていることが多いです。

水分補給と湿度対策になる水容器

幼体トノサマガエルは冬眠中に地上に一度も出てこないわけではありません。

冬場でも暖かい日や雨が降って湿度が高まったときに不意に出てくることがあります。

不意に出てきたトノサマガエル幼体が水分を補給できるように、少しでいいので水容器に水をキープしておきましょう。

水容器に水を入れておくことで飼育ケース内の乾燥緩和にも繋がります。

注意点として寒い冬だと変温動物であるカエルは、あまり動くことができないため、ジャンプしなくても水容器に入れるよう、高さの低い水容器が良いです。

エサケース(中身はミルワーム)

飼育ケース内は落ち葉を敷いてしまうため、カエルが土の中で冬眠してるのか、単に落ち葉の下でジッと身を潜めているのか、飼育ケースの上から見ただけでは判別がつきません。

冬眠モードに入っていない(ジッと身を潜めているだけ)場合、いつでもエサを食べられるように、エサケースにミルワームを用意しておく必要があります。(コオロギだと落ち葉に身を潜めてカエルが見つけられない可能性がある)

ミルワームは折り返しのあるエサケースに入れておけば脱走することはないため、ミルワームの減り具合でカエルが活動中なのか冬眠中なのか判別できます。

幼体トノサマガエルの冬眠前後の給餌

  1. 冬眠前は毎日エサを与える
  2. 冬眠明けはハニーワームを与える

コオロギは寒さに弱いため、冬眠前後はワーム系のエサを使います。(日本のコオロギも冬は越せない)

冬眠前は毎日エサを与える

幼体トノサマガエルは十分な栄養を蓄えられないので、冬眠前となる10月以降は毎日エサを多めに与えて、いつ冬眠モードに入っても大丈夫な状態にしておきます。

エサはコオロギやミルワームがおすすめですが、越冬用の飼育レイアウトはコオロギが隠れやすいためミルワームも併用すること。

コオロギの場合、11月を過ぎると落ち葉に隠れたまま、朝の寒さで死亡する可能性も高くなります。

冬眠直前のカエルにエサを与えすぎると、未消化のまま冬眠してしまい、お腹の中で腐敗が起きる意見もありますが、冬眠直前を見極めることは困難なので、餓死リスクを防ぐためにも消化の良いエサであれば積極的に与えていったほうがよいです。(甲虫は消化に悪いので冬眠前のエサとしてはおすすめはしません)

冬眠明けはハニーワームを使用

冬眠明けのカエルはエネルギー不足の状態であるため、手っ取り早くエネルギーを補給させるために、高カロリーかつミルワームより外皮が柔らかいハニーワームがおすすめです。

ハニーワームの注意点として、ミルワームと違い垂直の壁もカタツムリのように移動できるため、捕食を確認できなければ保険としてエサケースにミルワームを入れておくこと。(ハニーワームはエサケースに入れてもすぐに脱走します)

幼体トノサマガエルの冬眠中の飼育管理

  1. 飼育ケース底内に水を浸す
  2. 地表全体に水をまく
  3. 水容器に水を足す

幼体トノサマガエル冬眠中は、週1回程度の水管理の作業があります。

飼育ケース底内に水を浸す

週1回ペースで飼育ケースの底の水量を目視して、減ってきたら水を足します。

飼育ケースの一角だけ土をどけておき、鉢底石に直接水を流しこめるスポットを設けておくと、すぐに水を飼育ケース底全体に浸すことができます。

ケース底内の水がなくなると、土が乾燥してしまい、地中で冬眠しているカエルに影響が出てきます。

地表全体に水をまく

幼体トノサマガエルも個体差があり、地中1㎝など浅い場所で冬眠している場合もあるため、飼育ケース底内に水を浸すだけでなく、上からも水をまく必要があります。

落ち葉の上からでも良いので、コップ1杯程度の水をまきます。(まく頻度は週1回程度)

下からだけでなく、上からも水を与えることで土全体に水を浸透させ、乾燥状態になることを防ぎます。

水容器に水を足す

活動期のカエル飼育においては、水容器の水は細菌繁殖やカエルの尿で汚れやすく、また水飲み場にもなるため、水の入替作業が必須でした。

しかしながら、冬眠中は寒く細菌が繁殖しにくい環境であり、カエルが入ることも基本はないため、水の入替でなく減った分を足すだけで良いです。

幼体トノサマガエルの越冬(冬眠)飼育まとめ

本記事では幼体トノサマガエルの越冬(冬眠)飼育の難易度が高い理由と具体的な対策を実際の飼育レイアウト画像を用いてお伝えしました。

越冬(冬眠)飼育が難しい理由
  1. エネルギーを十分に蓄えられない
  2. 地中深くまで潜れない
  3. 成体と比較して目覚めが早い
具体的な対策
  1. 鉢底石を敷き常に水で浸しておく
  2. 土の表面にも水をまき、常に土全体を湿った状態にしておく
  3. 水容器の水は年中切らさない。
  4. 床材は柔らかく保水性の高い腐葉土を使用
  5. 落ち着けるように隠れ家となる落ち葉を入れておく
  6. 冬眠前はエサをたくさん与える
  7. 冬眠明けは高カロリーのハニーワームを与える

冒頭でもお伝えしましたが、一番重要なことは、常に土全体を湿った状態にしておくこと。

カエルは爬虫類と比較して水への依存度が高いため、姿が見えない真冬でも水の管理だけは怠らず飼育に努めましょう。

当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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