カエル野外飼育で最もハードルが高いのが冬眠。
寒くなったのにカエルがなかなか冬眠してくれないと飼育者としては心配になりますよね。
寒いのに冬眠しないと、カエルが餓死する可能性が高いので、カエルが冬眠しない場合は、原因を追及して早期に行動する必要があります。
僕自身、カエル飼育1年目に知識不足ゆえに5匹(トノサマガエル幼体4匹、アマガエル成体1匹)2年目に8匹(トノサマガエル幼体3匹、アマガエル成体3匹、ツチガエル幼体2匹)の冬眠に失敗した苦い経験があるので、失敗談を踏まえながら、冬眠しない原因と5つの解決策についてお伝えします。
- 冬眠する温度に至っていない
- 冬眠する場所が見つかっていない
- 冬眠する蓄えが不十分
- 冬眠するための土が硬い
- 冬眠する場所が賑やか
本記事でお伝えする5つの方法を試せば、大半のカエルは冬眠に向けて行動してくれるようになりますよ。
- アマガエル成体
- トノサマガエル成体・幼体
- ナゴヤダルマガエル成体
- ヌマガエル成体・幼体
- ツチガエル成体・幼体
- ヒキガエル成体・幼体
- カジカガエル成体
- タゴガエル成体
野生のカエルの冬眠事情を確認
まずは野生下におけるカエルの冬眠事情についておさらいします。
カエルが冬眠する温度は10度が目安
カエルが冬眠するのは10度以下が有力説です。
ただしカエルの種類や個体によって差はあるので、指標に留めておきましょう。
我が家のカエルの場合、大型のトノサマガエルは寒さに敏感なのか15度ぐらいでも土に潜りますし、反面、一部のツチガエルは10度を下回るでも日でも外に出ていました。
また、10度という数値はカエルが冬眠する温度に指標であり、土に潜るなど冬眠準備するのは15度前後です。
また8月下旬~9月にかけて寒暖差が激しくなると一部のカエルは寒くなると察知して、20度弱でも土に潜ることがあります。
カエルは物陰に隠れて冬眠するので、姿を消しただけで本当に冬眠したかどうかを確認するのは難しいです。
カエルは身を潜めて冬眠している
冬にもカエルは野生下に存在しますが、日常生活で見かけることはありません。
冬眠中は無防備な状態になるため、安全かつ寒さをしのげる場所に身を潜めているからです。
具体的には、土の中・落ち葉や石の下・水場、建造物の隙間などに身を潜めて冬眠しています。
ただし、野生化のカエルの越冬については、まだまだ不明な点が多いのも実情で、今もなおカエルの冬眠活動については調査や研究が行われています。
ツチガエルや特定外来生物であるウシガエルは、初年度はカエルでなくオタマジャクシで越冬します。
土の中で半年以上過ごすこともある
カエルと聞くと水辺にいる生き物のイメージがありますが、意外と土の中で暮らす期間のほうが多いカエルもいます。
理由として、カエルのエサとなる虫の活動時期は5月〜10月ぐらいが多いことから、虫が卵の状態である11〜4月の半年間は、エネルギー消費を抑えるため、冬眠から目覚めても活動に消極的だからです。
実際にカエルの好物であるエンマコオロギの生活サイクルを見た場合、5月に孵化して10月には産卵して死滅します。
活動すれば代謝が活発化してエネルギーを消費するので、エサが成長するまで、温度差が地上より緩やかな土の中にいることは理にかなった行動とも言えます。
我が家の大型トノサマガエルは10月初旬からGWまで土の中にいました。
カエルが冬眠しない5つの要因と対策を解説
- 冬眠する温度に至っていない
- 冬眠する場所が見つかっていない
- 冬眠する蓄えが不十分
- 冬眠するための土が硬い
- 冬眠する場所が賑やか
順番に解説していきます。
カエルが冬眠する温度に至っていない
カエルが冬眠するためには10度が指標となります。
冬眠するうえで温度は目に見えるわかりやすい指標となるため、寒くなったのにカエルが冬眠してくれない場合は、ケース内に温度計を設置しましょう。
日当たりの良い場所に飼育ケースが置いてある場合、朝晩は10度を下回っていても日中は太陽の光で、飼育ケース内の温度が高まっていることもあります。
飼育ケース内の温度が高まると、カエルの代謝も高まってしまい冬眠から遠のきます。
カエルに太陽光を浴びさせるメリットの1つにビタミンDの生成が挙げられますが、冬眠期は生体活動が鈍重になるため、太陽の光を過度に意識する必要はなく、気温差が激しくない日当たりの悪い場所に置いても大丈夫です。
野生下においても、石の下など太陽光が当たらない場所でカエルたちは冬眠しています。
カエルが冬眠する場所を見つけていない
カエルは冬眠する場所として目立たない場所が絶対条件となりますが、飼育ケース内がさっぱりしている(上から見渡しが良い)と、カエルは身を隠せず、落ち着いて冬眠の準備ができなくなります。
とくに穴を掘る力が弱いカエルは、落ち葉や枯れ木などに身を潜めて越冬したり、物陰で身を潜めてから地道に土を掘ることがあるため、公園で枯れ葉や枯れ木を集めて飼育ケース内に入れてあげましょう。
保湿という点では水苔もおすすめです。
落ち葉や枯れ木は、身を隠す以外にも眩しい太陽の光を遮る効果もあるので、カエルの冬眠においては役立ちます。
他サイトを見ていると床材を水苔だけにするなどを見かけますが、カエルは個体によって身を隠すものの好みが異なってくるので、1つのこだわらず、複数のものを設置してカエルの選択肢を増やしてあげましょう。
我が家のカエルを見ていても、ヌマガエルは水苔が設置していない場所に穴を掘って潜っていました。
冬眠するための土が硬くカエルが潜れない
温度も10度を下回り、落ち葉や植物など隠れる場所があるのに、目に見える場所に留まっている。
そんなときは床材である土を疑いましょう。
成体トノサマガエルのような力強いカエルであれば、一般の土でも簡単に掘り起こして潜ります。
しかし、アマガエルやトノサマガエル幼体の場合、潜りたくても力がなくて、土が思うように掘り起こせず地上に留まっている可能性があります。
対策として、水分を含ませた柔らかい腐葉土や水苔を敷いてあげると、アマガエルでも潜ってくれるようになります。
小型のカエルの場合、土の上層部で冬眠することが多いので、あまり深くする必要はありません。(5㎝~)
カエルを冬眠させる飼育ケースが賑やかな場所にある
普段のカエル飼育でも言えることですが、以下のような賑やかな場所は控えましょう。
- 室外機の近く
- 毎日家族が出入りする玄関先
- 車が出入りする場所
また飼育ケースを頻繁に動かすことも控えましょう。
音や振動が激しいと、せっかくカエルが土の中に潜っても冬眠に集中できず、少し暖かくなったときに、春と勘違いして出てきてしまいます。
カエルの蓄えが不十分で冬眠できない
冬眠環境を整えてもカエルが冬眠してくれないときに、疑うべきものはカエルの蓄え。
とくに気温が10度以下なのに動きまわっている場合は、冬眠の蓄えを得るためにエサを探している可能性があります。
カエルは冬眠中、生体活動はストップしますが、それでも日々エネルギーは消耗します。
もしエネルギー源である蓄えが枯渇すると、冬眠が永眠になってしまいます。
カエル自身も本能的に蓄えが少ないと危険なことを察しているのか、冬眠前はエサをガッツリ食べます。
野生下でも9月~10月初旬はお腹がパンパンなメタボリックなカエルを見かけます。
したがって、環境を整えてもカエルが冬眠しない場合は、カエル自身が蓄えを不十分と認識している可能性が高いので、消化の良いコオロギを与えていきましょう。
また、蓄え不足にならないように野外越冬させる場合、8月下旬~9月上旬以降はエサをガッツリ与えていきましょう。
アマガエルや中型ヌマ(ツチ)ガエルであれば、脂肪が多いミルワームもかなりおすすめです。
カエルは20度を下回ると消化活動が徐々に鈍くなります。
また10度以下の環境でエサを与えると、消化する前に体内で腐食してしまい、カエルの死に至る危険性が高いです。
そのため、20度以上の環境下で存分にエサを与えた後、最低3日間は暖かい場所において、しっかり消化をさせてから屋外に戻すようにしましょう。
エサに関しては栄養バランスが高く消化も良いコオロギがおすすめです。
カエルを冬眠させる方法まとめ
本記事では、野生下におけるカエルの冬眠の実情を踏まえたうえで、具体的な5つの解決方法をお伝えしました。
- 10度ぐらいで冬眠する
- 身を潜められる場所で冬眠している
- 半年以上を土の中に潜っているカエルもいる
- 飼育ケース内を10度以下にする(日中、温かくならいようにする)
- 落ち葉や水苔など隠れる場所を多く提供する
- 土の潜りやすいように柔らかい土を敷いてあげる
- 静かな場所に移動させる
- エサをたくさん与えて蓄えを十分にする
カエルが冬眠しない要因はいくつかありますし、要因が重複していることもあります。
また、同じカエルでも土に潜って冬眠するカエルもいれば、水苔のスキマから体の一部が見える状態で冬眠するなど、カエルの種族はもちろん個体によっても差があります。
そのため、一つの情報に固執せず、仮説と検証を繰り返しながら、飼っているカエルに最適な冬眠環境を提供することが飼育者の務めだと思います。
各カエルの具体的な冬眠飼育や飼育レイアウトについては、下記記事で解説しているので、野外越冬させる方は参考にしてください。
当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。