田んぼのカエルと言えばアマガエルやトノサマガエルが思い浮かびますが、茶色いツチガエルやツチガエルと見分けが難しいヌマガエルも、田んぼには生息しています。
ツチガエルはアマガエルやトノサマガエルと比べると存在感も情報量も少なく、どんなカエルでどのような飼育をすればいいか、よく分かりませんでした。

ネットで検索してみても、ツチガエルの情報量はアマガエルやトノサマガエルより圧倒的に少なく飼育は手探りでした。
しかし、いざツチガエルを飼育してみると、ルックスが似たヌマガエルと同様に、可愛げのあるカエルであることに気づかされました。
飼育方法も難しくなく、カエル飼育1年目にピッタリな初心者向けのカエルです。
本記事ではツチガエルの特徴や生態を踏まえたうえで、節約重視かつ初心者向けの飼育方法についてお伝えします。
- ツチガエルに興味がある
- 子どもがツチガエルを捕まえてきて飼うことになった
- あまりお金をかけずにツチガエルを飼育したい
- ツチガエルの実際の飼育レイアウトや飼育セットを知りたい
このような方はぜひ読んでみてください。
捕まえてきたカエルがヌマガエルかツチガエルか分からない方は、こちらの記事で確認しましょう。
ツチガエルの8つの特徴


ツチガエルを飼育するうえで、知っておきたい特徴は8つあります。
- 地表性のカエルだが水辺を好む
- 大きさは37~53mmでメスのほうが大きい
- ヌマガエルと違い、お腹にイボイボがある
- 泳ぐことはできるがスピードは普通
- 手足に吸盤はないので壁は登れない
- 鳴き声はアマガエルより小さいけど、よく鳴く
- おたまじゃくしで越冬する
- 体から嫌な臭いを出す
ツチガエルは地表性のカエルですが、同じ地表性のヒキガエルと違い水辺を好むことから、水がある田んぼや用水路でよく見かけることが多いカエルです。
見た目はヌマガエルと違い細めのシルエットで、やや筋力がなさそうに見えますが、ヌマガエル同様に機敏な動きをします。
後ろ足はヒレのようになっており、泳ぐこともできますが、地表性のカエルなので長時間泳ぐことはできず、すぐに物陰に隠れます。
またツチガエルは体から嫌な臭いを出す特徴があり、天敵であるヘビなどから身を守ります。
ツチガエルはヌマガエルと違い、体のイボが目立つのが特徴で、通称『イボガエル』と呼ばれています。



イボガエルと言えばツチガエル。ガマガエルと言えばヒキガエルだよ。




ツチガエルの生息地と生態


ツチガエルはアカガエル科・ツチガエル属に分類され、ツチガエル属は本州・四国・九州に生息するツチガエルと、佐渡島だけに生息するサドガエルがいます。
本記事では本州・四国・九州に生息するツチガエルについて解説していきます。
ツチガエルの繁殖時期は5月~9月と長いです。
また他のカエルと違い、おたまじゃくで越冬するのもツチガエルの特徴と言えます。



おたまじゃくで越冬するカエルで有名なのが、特定外来種のウシガエルだよ。
11月を過ぎ朝晩冷え込むようになると、成体のツチガエルは土に潜って冬眠の準備をします。
水の中にいるおたまじゃくしは12月に冬眠準備と、成体と比べるとやや遅いです。
おたまじゃくでの越冬時期が遅いせいか、成体ツチガエルの冬眠時期は、アマガエルやヌマガエルと比較してやや遅いです。
そのため、10月下旬でも田んぼでツチガエルを見かけることがあります。
ツチガエルの寿命ですが、概ね5年程度と言われています。
ツチガエルに必要な飼育セット


ツチガエルの特徴や生態について何となく分かってもらえたと思いますので、ここから本題の飼育について解説していきます。
まずはツチガエル飼育に必要なものを順に紹介していきます。
飼育ケース
ツチガエルを飼育する際は、2つの理由から大きめの飼育ケースをおすすめします。
- 縄張り意識があり、弱いカエルにも逃げ場(スペース)を確保する必要があるため
- 陸地だけでなく一定の水地スペースも必要となるため
風通しが良ければ、飼育ケースの種類は、大型の虫かごでも水槽でも衣装ケースでも問題ありません。
しかしながら、天敵である鳥に狙われることから、蓋は必ず用意しましょう。
飼育ケースの高さですが、ツチガエルはジャンプ力は高くないので、対象となるツチガエル5匹分ぐらいの高さがあれば問題ありません。
越冬を検討している場合は、土を5~10センチほど入れることを前提として飼育ケースを選びましょう。
幅300㎜×奥行200㎜×高さ205㎜
幅375㎜×奥行250㎜×高さ168mm
床材
ツチガエルは水辺を好みますが、地表性のカエルであり普段は陸地にいるカエルなので床材は必須です。
カエル飼育の床材としては一般的に以下のものが挙げられています。
- 土
- 水苔
- フロッグソイル
- ウールマット
- キッチンペーパー
ツチガエルの場合は土、水苔、フロッグソイルが向いており、個人的には野外飼育であれば土がおすすめで、土のなかでも腐葉土をおすすめします。
- サイフに優しい値段
- 湿りやすいので一定の湿度を保てる
- やわらかい土なので寒いときは手軽に潜れる
- カエルの尿を土が吸収してくれる
- 腐葉土には小さな虫が寄ってくる
- 植物を直に植えることができる
小柄なツチガエルの場合、⑤の利点は高く、カエル飼育の難点ともいえる生き餌の確保に腐葉土は貢献してくれます。(室内飼育の場合、⑤はデメリットになるので虫が湧くようであれば、防虫対策がされた土や水苔かソイルに切り替えましょう。)
腐葉土を入れることはツチガエルだけでなく、カエル飼育者にとってもメリットがあるので、床材に迷ったら腐葉土を使用してみましょう。
室内飼育の場合は爬虫類用のヤシガラがおすすめ。
腐葉土のように虫を寄せず、室内飼育で重要な消臭力も高いです。
植物
植物も床材である土と同様に、ツチガエルにもカエル飼育者にもメリットがあるため必需品です。
設置する植物ですが、身を隠せやすく日陰でも育つヘデラ(ロング)やポトスがおすすめです。
とくにポトスは丈夫で日を当てなくても育つので、植物の入れ替えの手間が省けます。
- カエルが身を隠すことができる
- 土の中の余分な水分を吸収してくれる
- デッドスペースを減らせる
- 浮き輪代わりになり溺死対策になる(水草)
- フン尿を分解し水質を浄化してくれる(水草)
特に①が重要です。
カエルが隠れる理由の1つが天敵から身を隠すこと。
隠れる場所があれば、カエルはその場所に身を潜め、落ち着くようになります。



カエルが落ち着かない場合、身を隠すものがあるか確認してみよう。
ツチガエルがエサを食べない場合、身を隠す場所がないことが要因の可能性もあります。
隠れるもう1つの理由が直射日光から身を守るため。
カエルは爬虫類と比較して乾燥に非常に弱いので、直射日光を遮る植物の存在は極めて大きいです。
またツチガエルは樹上性カエルではないですが、丈夫な茎を持った草や花の上に乗ることもあるので、デッドスペースが気になるのであれば、茎が丈夫な草や花を設置するのもアリです。



我が家のツチガエルはポトスの葉にたまに乗っています。
水容器
水容器の水は飲み水(皮膚から吸収)や体の乾燥を防ぐために利用されます。
またカエルは変温動物のため、真夏時には体温調整のため水に浸かることが多いです。
ツチガエルは水を好みますが地表性のカエルのため、足がつかないほどの深さのある水容器を設置する必要はありません。
ただし、『ツチ』という肩書きとは裏腹に水に浸かる頻度は高いので、複数のツチガエルを飼育する場合は、広い水容器を設置して、すべてのツチガエルがいつでも水に浸かれるようにしましょう。



11月以降も土の中でなく水に浸かってる姿をよく見かけるので、完全に土の中に潜るまでは水容器の水は満タンにしておきましょう。
注意点として、ツチガエルは手足に吸盤がないうえにジャンプ力もヌマガエルほどでないので、水容器から陸地に簡単に戻れるようにしないと、水容器の中で溺死する可能性があります。
水草を設置しておけば、水草の上に乗りジャンプして陸地に戻れますし、水の汚れを防ぐ役割も果たしてくれます。
金魚網
金魚網を推しているサイトはあまり見かけませんが、あった方がよいです。
ツチガエルを飼育していくなかで、定期的に床材の入れ替え作業など飼育ケースの掃除を行うことになり、ツチガエルを別カゴに移動させる機会が出てきますが、ツチガエルを手で捕まえて移動させることはおすすめできません。
人の手の体温36度はツチガエルの許容温度を上回るからです。
ツチガエルは変温動物ゆえに体温は変動しやすく、ツチガエルの体温と人の手の体温の差がありすぎると最悪ショック死する可能性があります。
捕まえ方は簡単で金魚網をツチガエルの前に置き、後ろから背中を押すだけです。
ツチガエルのエサ


カエル飼育で一番大変なのがエサの調達です。
カエルは一般的に動くエサしか食べないことから、生きエサが必要となります。
ツチガエルの主なエサは以下の通りです。
- イエコオロギ(SS~Lサイズ)<ペットショップ>
- フタホシコオロギ(SS〜Mサイズ)<ペットショップ>
- 身近にいるコオロギ
- ミルワーム・ミディアムワーム<ペットショップ>
- バッタ・イナゴ
- 小型の甲虫
- ミミズ
- ダンゴムシ・ワラジムシ
- 小型のクモ
我が家のツチガエルに人気なのは、コオロギ・ミルワーム・バッタです。
抵抗がない方は、海外のゴキブリであるデュビアやレッドローチも選択肢に入れましょう。



コオロギよりゴキブリのほうが生命力が高いため、ストック面ではゴキブリに軍配が上がると思いますが、僕は生理的にゴキブリがムリなので、ゴキブリは使っていません。
エサに迷った際は定番のコオロギがおすすめです。
爬虫類専門ショップに行けば確実に入手できますし、ちょっとした爬虫類を扱っているホームセンターでも、コオロギはサイズごとに販売されています。
コオロギについて知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
店頭ではヨーロッパイエコオロギとフタホシコオロギの2種類が取扱いされていますが、1週間以上保管するのであれば、飼育管理が楽なヨーロッパイエコオロギのほうがおすすめです。
2種類の違いについては、こちらの記事を参考にしてください。
購入したコオロギの保管方法については、こちらの記事を参考にしてください。
コオロギはデリケートな昆虫であるため、エサにまで気を使いたくない人には、同じくカエルのエサで定番なミルワームがおすすめです。
エサのサイズですが、頭の50%~80%ぐらいを目安にしましょう。
与えるエサの量や頻度に関しては、情報を鵜呑みにせず、実際のカエルの体の様子を見て判断していきましょう。
コオロギに関しては、可能であれば実店舗に出向いて購入することをおすすめします。
ツチガエル活動期の飼育レイアウトと飼育方法
冬眠や冬眠前後以外の活動期の飼育レイアウトや日々の飼育方法についてお伝えします。
真夏の暑さは、ツチガエルにとっても危険なので、風通しが良く、日陰となる場所に置きましょう。
ツチガエル活動期の飼育レイアウト(画像あり)


飼育ケース
昆虫用のケースを使用。
野鳥対策のために蓋は閉めています。
床材
ホームセンターで購入した腐葉土と100円ショップで購入したヤシガラ系の土を利用。
画像は春のため、潜りやすいヤシガラ系の土を敷いていますが、夏場であれば腐葉土主体で問題ありません。
土に深さは夏場であれば、3~5センチもあれば十分です。
水容器
100円ショップで購入したタッパを設置。(上記画像は2つですが、実際にはもう1つ設置しています)
水の深さは3センチほど。
水の取り換えやすさを重視し、小型のタッパにしてあります。
ツチガエルは水に浸かることが多いため、夏場は全身が浸かれるように、大きめの水容器1つに切り替えましょう。
植物
画像はヘデラロングだけですが、夏場は空きスペースにポトスも設置しています。
ポトスは夏にかけて成長するため、1つ設置すれば十分です。
夏場は水容器の水を深くすると同時に、溺死対策になる水草(ホテイソウ)も入れてあげましょう。
ツチガエル活動期の飼育方法
ヌマガエル飼育で行うべきことは4つあります。
- 霧吹き
- 水の入れ替え
- エサやり
- 土の入れ替え
①霧吹き
霧吹きは1日2回行いましょう。
適度に霧吹きを行うことで一定の湿度を保つことができます。
ただし、湿度が高くなりすぎるのはツチガエルにとって良くないので、やりすぎは厳禁です。
また霧吹きはツチガエルに直接かけるのでなく、葉っぱや土にかけてあげましょう。
ツチガエルは水が好きなので、小振りな雨の日は霧吹きの代わりに、飼育ケースを雨のかかる場所に移すのも良し。
霧吹き時に飼育ケース内も見渡して、コオロギなど生きエサが亡くなっていた場合は、すみやかに撤去しましょう。
②水の入れ替え
水容器の水は可能であれば毎日。最低でも2日に1回は入れ替えしましょう。
理由として、カエルは水分を口からでなく水に浸かって体全体から吸収するため、水容器の水が汚いと弱ってしまうからです。
また水容器の水は流れがないことから細菌も繁殖しやすく、カエルも水の中で尿を出すことから、見た目以上に水は汚れています。
入れ替える水ですが、水道水はカルキが含まれているため、あらかじめペットボトルやバケツに水を入れてカルキ抜きの水をストックしておきましょう。
晴れた夏の日であれば2時間程度、冬の曇りの日でも2日置けば、カルキは十分に抜けます。
③エサやり
エサの頻度は成体なら週1~2回、幼体ならば毎日か2日に1回を目安にしましょう。
エサの量は1日当たり、対象となるツチガエルの頭のサイズを1匹。週2回の場合、1回につき3~4匹となります。
手間を省くなら、1週間に1回、コオロギ+α(ミルワーム・ダンゴムシ・ミミズなど)を放つだけでも大丈夫です。
コオロギは土や植物に身を隠するので、すぐに完食されません。
我が家の場合、エサケースに適度なミルワームを入れておき、休日にコオロギを放ち、週中にダンゴムシ等の小型の虫や小さなミミズを与えています。
他にも蓋のスキマから、腐葉土や植物に寄ってくる羽虫を食べていると思われます。



市販のコオロギ・ミルワームと勝手に寄ってくる羽虫だけでも、エサとして十分だよ。
④床材(土)の入れ替え
土やソイルの場合、月に1回は入れ替え作業を行いましょう。
土やソイルはぱっと見ても汚れが分からないですが、フンやエサの残骸などで意外と汚れています。
水苔の場合も、カエルのフン尿を含んでいることから、月1回は新品に取り換えておきましょう。
手軽なキッチンペーパーの場合は、フンは見つけたらすぐに撤去しつつ、週1回は取り換えてあげましょう。
キッチンペーパーを床材にしている場合、フン尿の気化によるアンモニア中毒の危険性があるので、こまめな手入れが求められます。(キッチンペーパーは樹上性のアマガエルはともかく、地面に依存するツチガエルにはおすすめしていません。)
猛暑日の対応
猛暑はツチガエルにとっても脅威なので対策は必要不可欠です。
おすすめの暑さ対策は、凍らせた容器を飼育ケースの中に入れてあげること。
陸地に氷を直に入れる方法もありますが、植物や土がない場合、氷が一気に溶けて飼育ケースが一時的に高湿になる可能性があります。(土や植物があれば、植物の根付近に置いていきましょう。)
水容器に氷を入れる場合は、水が冷えすぎないように氷は小さいサイズにしましょう。
暑い日に水容器の水が冷えすぎると、水に浸かった際に外気との温度差でショック死する可能性があります。
ツチガエル越冬時の飼育レイアウトと飼育方法
ツチガエルは土の中や泥水のなかで冬眠してしまうので、活動期と比較するとやるべきことは少ないです。
飼育者としての心がけは、無事冬眠できるよう手助けすることと、冬眠中も水分を定期的に与え、冬眠が永眠にならないようにすることです。
ツチガエル越冬時の飼育レイアウト(画像あり)


床材
土は保湿性の高い腐葉土がおすすめで、土の深さは15センチ。
上記画像の飼育ケースには大型トノサマガエルもいるため、土は深めにしましたが、ツチガエルだけであれば5~10センチあれば十分です。
落ち葉なども置いて、身を隠して潜りやすい環境にしてあげましょう。
水容器
ツチガエルは冬眠時期が遅いうえに、11月過ぎても水の中で浸かっている姿を何度か見かけたので、水容器の水は半分ほど入れておきましょう
真冬は基本使われないですが、まれに水を求め土から出てくる個体がいるので、体半分ぐらいが浸かれる量の水容器を設置しておきましょう。
余談ですが、水容器の中に土があると、容器の中を冬眠場所に選択することもあります。
上記の飼育レイアウト画像のカップの中を見たところ、ツチガエルが冬眠していました。


植物
夏から使用していたポトスを引き続き使用。
ポトスは寒さに強くないため、11月以降は元気がなくなり枯れてきます。
カエルは冬眠中も土の中の水分を体から吸収しているので、土の中の水を植物が吸収してしまわないように、冬に枯れる植物がおすすめです。



カエルは冬眠中も皮膚で地中の水分を吸収するため、冬も元気よく土の中の水分を吸収する植物は危険です。
落ち葉や枝なども入れておくと、ツチガエルの身を隠せる場所や、寒さをしのげる場所が増えるのでおすすめです。(雰囲気も出ます)
ツチガエル越冬時の飼育方法
冬眠はやや飼育のハードルが高くなるうえに、越冬時は土しかない飼育ケースに毎日霧吹きをするだけで虚しく感じるので覚悟しましょう。
①霧吹き
ツチガエルが土の中に潜るまでは活動期と同様、1日2回。
霧吹きは熱中対策以外に、湿度維持の役割もあります。
とくに11月以降は湿度が低くなるので、ツチガエルが地上で姿を見せている場合は、霧吹きは忘れずに行いましょう。
両生類のカエルとって乾燥は脅威です。
ツチガエルが完全に土に潜ったら1日1回で十分です。
②水の入れ替え
ツチガエルが冬眠するまでは活動期と同じ。
ただし、涼しくなれば水の腐る速度も緩やかになるので、水の入れ替え頻度は真夏よりは減らして良いです。
10月下旬以降は、湿度低下に伴い水の減りが早くなるので、水を付け足しましょう(水の入れ替え作業は不要)
土に潜り始めたら、水容器を小さめのものに代えても問題ありません。
ただし、一度土に潜っても、温度・湿度・気圧の変化で再び地上に出てきて、水に浸かることがあるので、水容器は年中置いておきましょう。(水の量は体半分が浸かれるぐらい)
③エサやり
冬眠中はこれまで蓄えたエネルギーを消費するので、冬眠前は活動期以上にガッツリ与えていきましょう。
寒くなっても中々土に潜らないって場合、エサが不十分な可能性もあります。
成体ツチガエルであれば、秋はイナゴやバッタなど野生のエサの調達が容易です。
注意点としては甲虫系の虫など消化の悪いエサ。
冬眠状態になると消化器官の活動もにぶくなるため、エサが消化できず体内でエサが腐る危険があるので、消化の悪いエサは控えめにしましょう。
心配であればホームセンターや爬虫類ショップのほか、ネットでも手軽に購入できるコオロギを主食にしておきましょう。



まだまだ暑い9月にミルワームなど脂質が高いエサを積極的に与えて太らせ、10月以降は消化のよいコオロギを与えていくのが効果的だよ。
④土の入れ替え
冬眠に入ると土の入れ替えはできなくなるので、冬眠前に新鮮な土に入れ替え、土の量も多めに入れておくこと。
また、土が固いと深く潜れないので、入れ替え時に水分を含ませて柔らかくしておきましょう。
春にツチガエルが土から出てきたら、新しい土と入れ替えします。
氷点下日の対応
冬眠中とはいえ土の中が氷点下を下回る場合は注意が必要です。
天気の良い日中は日当たりの良い場所に置き、朝晩はバスタオルで全体で包み、飼育ケースが冷え込まない工夫をしましょう。
ただし、野生のツチガエルは土に潜っているだけで越冬できているうえ、ロシアの沿岸部や朝鮮半島など寒い地方にも生息するカエルなので、あまり神経質にならなくてよいです。
暖かい玄関先に入れると春が訪れたと勘違いする可能性があるので、気温10度以上の場所への移動は厳禁です。
ツチガエルに関する5つの疑問と回答


ツチガエルについて、ヤフー知恵袋などでもよく見かける5つの疑問と、それに対する回答をまとめました。
ツチガエルの捕獲・飼育前に確認してみてください。
Q1:ツチガエルとヌマガエルの簡単な見分け方
見た目が最も異なるのはお腹です。
ツチガエルはお腹にもイボイボがあるのに対し、ヌマガエルはお腹が真っ白です。


他に黒斑や皮膚の柄や色がありますが、お腹で見分けるのが一番手っ取りばやいです。
具体的な違いが気になる方は下記記事を参考にしてください。
Q2:ツチガエルに毒はあるのか
ツチガエルは体から嫌な臭いを出しますが、毒はありません。
毒で有名なのは同じ地表性カエルであるヒキガエルです。
ヒキガエルは天敵から身を守るために毒を出し、ツチガエルは毒の代わりに臭いを出します。
Q3:ツチガエルはどこで捕まえられるのか
ツチガエルは水がある田んぼに生息しています。
おたまじゃくの期間が長いことから、水への依存度が高く、冬でも近くに水がある場所に生息しています。
後ろ足はヒレになっており、逃げる際は水の中に逃げ込むこともありますが、泳ぎは早くないので泳ぎ終わるまで待って、止まったら一気に捕まえましょう。
ジャンプ力は高くないものの、陸地での逃げ足は速いので、油断は禁物です。
Q4:ツチガエルがエサを食べてくれない
まずは飼育ケース内がツチガエルにとって落ち着ける環境なのか見直しましょう。
身を隠す場所がなかったり、複数のカエルがいて密度が高いと、ツチガエルが落ち着けずエサを食べてくれません。
また、ツチガエルは水への依存度は高いですが、湿度が高すぎると食欲は減るので風通しにも気を配りましょう。
個体レベルでも好き嫌いはあるので、コオロギ以外のエサ(ミルワームや小型の虫)も試していきましょう。
Q5:ツチガエルをおたまじゃくしから育てることは簡単か
オタマジャクシは雑食性で生きたエサを必要としないので飼育しやすいと言われていますが、ツチガエルのおたまじゃくしは別です。
ツチガエルはおたまじゃくしの期間が長く、8センチほどまで成長します。
さらにおたまじゃくしで越冬するため、越冬のための準備が必要になることから、おたまじゃくしから育てるのは難易度が高いです。
ツチガエル飼育まとめ


この記事ではツチガエルの特徴を踏まえたうえで、ツチガエルに必要な飼育セットと飼育方法・注意点について解説しました。
- 地表性のカエルだが水辺を好む
- 大きさは37~53mmでメスのほうが大きい
- ヌマガエルと違い、お腹にイボイボがある
- 泳ぐことはできるがスピードは普通
- 手足に吸盤はないので壁は登れない
- 鳴き声はアマガエルより小さいけど、よく鳴く
- おたまじゃくしで越冬する
- 体から嫌な臭いを出す
- 広めの飼育ケース
- 床材(腐葉土がおすすめ)
- 植物(ポトス、ヘデラロングがおすすめ)
- 5㎝ほどの深さのある水容器
- 金魚網
- コオロギ
- ミルワーム・ミディアムワーム
- 甲虫
- ミミズ
- 羽虫
- クモ
- 海外のゴキブリ
- 霧吹きは1日2回
- エサは週1~2回。
- 水の入れ替えは毎日か2日に1回
- 床材は土やソイルでも月1回は入れ替え
ツチガエルは田んぼを代表するカエルですが、ヌマガエルと並んで『地味なカエル』とされているため、アマガエルやトノサマガエルと比較すると、人気は少なく情報量も少ないカエルです。
しかしながら、ツチガエルは捕まえやすく丈夫なので、カエル初飼育におすすめです。(おたまじゃくしは上級者向け)
飼育環境が整っていない状態で捕まえてしまうと、ツチガエルがストレスを感じて弱ってしまうため、飼育環境を整えてからツチガエルの飼育を開始しましょう。
当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。