トノサマガエルは田んぼに生息するカエルの中では体格は大きく、知名度も高いカエルであることからアマガエルに次ぐ人気のカエルです。
しかしながら、いざトノサマガエルを飼育する立場に置かれると、いろいろ分からないことが出てきます。

僕自身、大人になって初めてトノサマガエルを本格的に飼育したのですが、最初は分からないことだらけで大変だったので、これからトノサマガエルを飼う人の気持ちは分かります。
安心してください。
トノサマガエルの飼育方法も難しくなく、カエル飼育1年目にも関わらず、野外飼育の越冬にも成功しています。
トノサマガエルは正しい飼育方法とレイアウト環境を整えれば、初心者でも飼いやすいカエルと言えます。
本記事ではトノサマガエルの特徴や生態を踏まえたうえで、節約重視かつ初心者向けの飼育方法についてお伝えします。
- トノサマガエルに興味がある
- 子どもがトノサマガエルを捕まえてきて飼うことになった
- あまりお金をかけずにトノサマガエルを飼育したい
- トノサマガエルの実際の飼育レイアウトや飼育セットを知りたい
このような方はぜひ読んでみてください。
トノサマガエルの9つの特徴


カエルと聞いて思い浮かぶのが、以下のような特徴でしょう。
- 泳ぎが上手
- ジャンプして移動
- 雨の日や夜によく鳴く
トノサマガエルは上記特徴をすべて兼ね備えているため、ザ・カエルって感じです。
- カエルの中でもジャンプ力が強い
- 泳ぐスピードは非常に速い
- 繁殖期には「グルルルッ、グゲゲゲゲ」と鳴く
- 半水棲のカエルのため田んぼなど水のある場所にいる
- オスは55~80mm、メスは60~90mmとメスのほうが大きい
- 背中の中央に緑や白の線がある
- 手足に吸盤がないためアマガエルのように壁にくっつけない
- 穴を掘るのが意外と上手
- エサには貪欲で動くものは何でも食べる
トノサマガエルは半水棲のカエルであるため、水がある田んぼで見かけることが多く、コオロギやミミズの他、イナゴなど害虫も捕食してくれることから、親しまれているカエルです。
後ろ足の筋力が発達していることからジャンプ力は高く、また後ろ足はヒレのようになっていることから、泳ぎも非常に上手で、危険を感じたらジャンプして水辺に飛び込む習性があります。
オスとメスを見た目(大きさ・背中の色)で判断しやすいのもトノサマガエルの特徴で、背中の色が茶褐色から緑色なのがオス、灰白色なのがメスとなります。



繁殖期のオスは目立つために体の表面が金色になります。
トノサマガエルの生息地と生態


トノサマガエルは生物学的にはアカガエル科、トノサマガエル属に分類されますが、実はトノサマガエル属にはトノサマガエルの他にナゴヤダルマガエル、トウキョウダルマガエルがいます。
ただし、見た目の判別はパッと見では区別がつかず、身体構造も似ており、大きく異なるのは生息地だけです。
正式名称 | 生息地 |
---|---|
トノサマガエル | 本州(関東地方から仙台平野、信濃川流域を除く) 四国、九州と一部の周辺島嶼(平戸,種子島など) 朝鮮半島、中国 |
ナゴヤダルマガエル | 長野県伊那谷、東海、近畿、中国地方瀬戸内側、香川県 |
トウキョウダルマガエル | 関東地方・仙台平野 |



関東地方にトノサマガエルはいない!という驚愕の事実を知ったのは、カエル飼育を始めてからでした。
トノサマガエルとナゴヤダルマガエルの違いが知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。


生態やライフサイクルの違いはありませんので、本記事ではトノサマガエルを主体に解説していきます。
トノサマガエルの繁殖時期は4月下旬から7月であるため、田んぼに水が入るGW付近でトノサマガエルの鳴き声を聞く人は多いでしょう。
繁殖期に産み落とされた卵は1週間ほどで孵化し、秋にはおたまじゃくしからカエルに変態します。
10月を過ぎ、朝晩はTシャツでは寒いと感じる頃になると、トノサマガエルは土に潜って冬眠の準備をします。
冬眠前は体力を蓄えるためにエサをたくさん食べるので、繁殖期が終わった9月でも田んぼ・池・用水路など水がある場所でトノサマガエルを見かけることができます。
トノサマガエルの寿命は3〜5年ほどと言われていますが、天敵の心配がない環境であれば、それ以上に長生きさせることも可能です。
トノサマガエルに必要な飼育セット
トノサマガエルの特徴や生態について何となく分かってもらえたと思いますので、ここから本題の飼育について解説していきます。
まずはトノサマガエル飼育に必要なものを順に紹介していきます。
飼育ケース
トノサマガエルを飼育する際は、3つの理由から大きめの飼育ケースをおすすめします。
- 縄張り意識が強く、弱いカエルにも逃げ場(スペース)を確保する必要があるため
- ジャンプ力が非常に高いため
- 半水棲カエルのため陸地だけでなく一定の水地スペースも必要となるため
風通しが良ければ、飼育ケースの種類は、大型の虫かごでも水槽でも衣装ケースでも問題ありませんが、2つの理由から蓋は必ず用意しましょう。
- ジャンプ力が非常に高く脱走リスクがある
- 蓋がないと鳥から狙われる
参考までに我が家のカエル飼育ケースの大きさは、トノサマガエル大5匹に対し、幅462㎜×奥行310㎜×高さ340㎜の飼育ケースを使用しています。
高さに関しては中サイズのトノサマガエルでも40センチほど真上に飛べるジャンプ力はありますが、脱走やエサの捕獲などの目的がない限り高くジャンプすることはないので、対象となるトノサマガエル5匹分ぐらいの高さがあれば問題ありません。
越冬を検討している場合は土を大型トノサマガエルなら10㎝、小型・中型トノサマガエルでも5㎝ほど入れることを前提として飼育ケースを選びましょう。
幅453㎜×奥行303㎜×高さ340㎜
幅300㎜×奥行200㎜×高さ205㎜
床材
トノサマガエルは半水棲のカエルですが、普段は陸上にいることが多いので床材は必須です。
カエル飼育の床材としては一般的に以下のものが挙げられています。
- 土
- 水苔
- フロッグソイル
- ウールマット
- キッチンペーパー
トノサマガエルの場合は土、水苔、フロッグソイルが向いており、個人的には野外飼育であれば土がおすすめで、土のなかでも腐葉土か赤玉土をメインとすることをおすすめします。
- サイフに優しい値段
- 保水性が高いので一定の湿度を保てる
- 排水性が高くカエルの尿や飛び散った水も吸収してくれる
土は活動期であれば1か月に1回は入替するため、土の中でも安価かつ高機能な腐葉土・赤玉土は最適です。
上記以外にも床材を土にすることで植物を直に設置できる利点もあります。
カエルの居心地性を重視するなら腐葉土。
飼育ケースの見た目と虫の寄りにくさを重視するなら赤玉土。


植物
植物も床材である土と同様に、トノサマガエルにもカエル飼育者にもメリットがあるため必需品です。
設置する植物ですが、破壊されにくい丈夫なポトスや、身を隠しやすいヘデラ(ロング)がおすすめです。
ポトスもヘデラも直射日光が必要でないため、日当たりが良くない飼育ケース内でも重宝してくれます。
- カエルが姿を隠すことができる
- 土の中の余分な水分を吸収してくれる
- デッドスペースを減らせる
- 浮き輪の役割を溺死対策の役割を果たす(水草)
- フン尿の分解し水質を浄化してくれる(水草)
①が最も重要です。
トノサマガエルが隠れる理由の1つが天敵から身を守ること。
隠れる場所があれば、カエルはその場所に身を潜め落ち着くようになります。
落ち着く場所がないことが要因で、エサを食べないこともあるので注意しましょう。


隠れるもう1つの理由が直射日光から身を守るため。
カエルは爬虫類と比較して乾燥に非常に弱いので、直射日光を遮る植物の存在は極めて大きいです。
またトノサマガエルは樹上棲カエルではないですが、丈夫な茎を持った草や花の上に乗ることもよくあるので、デッドスペースが気になるのであれば、茎が丈夫な草や花を設置するのもアリです。





葉っぱに乗るトノサマガエルが見たければポトスがおすすめだよ。
水容器
トノサマガエルは半水棲カエルのため、アマガエルやヌマガエル以上に水場を意識する必要があります。
可能であれば全身が浸かれる深さの容器が良いです。
容器としては百円ショップで購入できるタッパの他、小型の虫かごをそのまま入れてしまうのもアリです。


注意点としては水容器は深ささと大きさを意識すること。
水容器が浅いと、梅雨明け以降の真夏日に全身が水に浸かれず体温調整ができずに弱ってしまいます。
トノサマガエルは縄張り意識が強いゆえに、水容器が狭いと弱いトノサマガエルが水容器に入れる機会が減ります。
飼育レイアウトのイメージとして、陸地と水地の割合は時期にも寄りますが6:4~7:3を目安にしましょう。
もう1つ注意点としてトノサマガエルは手足に吸盤がないので、水容器から陸地に簡単に戻れるようにしないと、水容器の中で溺死する可能性があります。
具体策として水草や木の枝の設置が有効です。(水草は水の汚れを防ぐ役割もあるのでおすすめ)
金魚網
金魚網を推しているサイトはあまり見かけませんが必需品です。
トノサマガエルの飼育をしていくなかで、定期的に床材の入れ替え作業など飼育ケースの掃除を行うことになり、トノサマガエルを別ケースに移動させる機会が出てきますが、移動時に手で捕まえるのはおすすめできません。
人の手の体温36度はトノサマガエルの許容温度を上回るからです。
トノサマガエルは変温動物ゆえに体温は変動しやすく、トノサマガエルの体温と人の手の体温の差がありすぎると最悪ショック死する可能性があります。
そのためトノサマガエル移動時には金魚網をトノサマガエルの前に置き、後ろから背中を押し金魚網に入れて移動させましょう。


トノサマガエルのエサ


基本的に口に入るサイズであれば動くものは何でも口にします。
僕自身の体験談ですが、かごの中に手を入れて水の入れ替え作業をしていたら、指をトノサマガエルにパクッとやられた思い出もあります。(歯がないので噛まれても痛みはありません)
トノサマガエルの用意しやすいエサは以下の通りです。
- 大型トノサマガエル
-
- コオロギ(M~Lサイズ)<購入可能>
- ミルワーム・ミディアムワーム<購入可能>
- イナゴ
- バッタ
- 甲虫(コガネムシサイズ)
- ミミズ
- 芋虫
- ダンゴムシ・ワラジムシ
- ナメクジ
- 小型のカエル(アマガエル・ヌマガエルなど)
- 小型・中型トノサマガエル
-
- コオロギ(SS~Mサイズ)<購入可能>
- ミルワーム<購入可能>
- ダンゴムシ・ワラジムシ
- バッタ
- クモ
- 芋虫
- 腐葉土や植物に寄ってくるコバエや羽虫
我が家のトノサマガエルに人気なのが、コオロギ・ミルワーム・バッタ・ミミズです。
トノサマガエルのエサが気になる方はこちらの記事も参考にしてください。


抵抗がない方は、海外のゴキブリであるデュビアやレッドローチも選択肢に入れましょう。



コオロギよりゴキブリのほうが耐久力が高いため、エサとしての管理の手間はゴキブリの方が楽ですが、僕は生理的にゴキブリがムリなので、ゴキブリは使っていません。
ネット上では意見が分かれている甲虫系(カブトムシやカナブンなどの甲殻があるもの)の小型昆虫もトノサマガエルは捕食します。
意外なのが同じカエル仲間であるアマガエルやヌマガエルもエサの対象になること。
大型のトノサマガエルだと、力強い大型のヌマガエルすら飲み込んでしまいます。


トノサマガエルにとって定番のエサはコオロギなので、迷うようであればコオロギにしましょう。
爬虫類専門ショップに行けば確実に入手できますし、ホームセンターでもコオロギはサイズごとに販売されています。
コオロギについて知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。


店頭ではヨーロッパイエコオロギとフタホシ(クロ)コオロギの2種類が取扱いされている場合がありますが、飼育初心者の方はヨーロッパイエコオロギがおすすめです。
2種の違いについては、こちらの記事を参考にしてください。


購入したコオロギの保管方法については、こちらの記事を参考にしてください。


ただし、コオロギはデリケートな昆虫であるため、エサにまで気を使いたく人には、同じくカエルのエサで定番のミルワームがおすすめです。





小型・中型であればミルワームと近くで取ってきた虫などで十分いけますが、大型になると食べる量が多いので、MLサイズのコオロギを取り入れた方が良いです。



甲殻類であるダンゴムシやワラジムシはカルシウムが豊富だけど、コオロギなどと違い個体によっては好き嫌いが目立ちます。



コオロギに関しては可能であれば、実店舗に出向いて購入することをおすすめします。
トノサマガエル活動期の飼育レイアウトと飼育方法
冬眠や冬眠前後以外の日常の飼育レイアウトや日々の飼育方法についてお伝えします。
真夏の暑さはトノサマガエルにとって脅威なので、飼育ケースは風通しが良く日陰となる場所に置きましょう。
トノサマガエル活動期の飼育レイアウト(画像あり)


床材
ホームセンターで購入した腐葉土。
水容器と陸地の高低差を小さくするために、土は高さは10㎝ほどにしています。
水容器
小型の虫かごを、そのまま設置。(1.5リットルの水が入る大きさです)
土の高さより少し高くすることによって、土が水容器に流れこまないようにしています。
底に足がつかない水容器を設置する場合、水草や木の枝などを入れてカエルが気軽に出られるようにしましょう。
トノサマガエルは吸盤がないため、水容器をよじ登るのは大変です。
植物
ヘデラ(ロング)と花壇に植えてあった弱った植物を設置。
真夏は熱さ対策のために、もう1つ植物を設置したほうが良いです。(おすすめはポトス)
陸地全体に植物を設置しても良いですが、鑑賞しにくいので空地スペースも設けてあります。
水草(ホテイソウ)は3株入れてあります。
水草があることで水中でも身を隠せるのでリラックスして水に浸かれます。
トノサマガエル活動期の飼育方法
トノサマガエル飼育で行うべきことは4つあります。
- 霧吹き
- 水の入れ替え
- エサやり
- 土の入れ替え
①霧吹き
霧吹きは1日2回行いましょう。
適度に霧吹きを行うことで一定の湿度を保つことができます。
ただし、湿度が高くなりすぎるのはトノサマガエルにとって良くないので、やりすぎは厳禁です。
小振りな雨の日は霧吹きの代わりに外に少し出すのも良いです。
霧吹き時に飼育ケージ内も見渡して、カエルやエサ(コオロギなど)が亡くなっていた場合は、すみやかに撤去しましょう。
②水の入れ替え
水の量にも寄りますが、負担でなければ毎日。水の量が多い場合でも最低週1回は水は変えましょう。
カエルは水分を口からでなく、水に浸かって体全体から吸収するため、肝心の水が汚いと弱ってしまいます。
また水容器の水は流れがないことから細菌も繁殖しやすく、カエルも水の中で尿を出すことから、見た目以上に水は汚れています。
入れ替える水ですが、水道水はカルキが含まれているため、あらかじめペットボトルやバケツに水を入れて、カルキ抜きの水をストックしておきましょう。
晴れた夏の日であれば2時間程度、冬の曇りの日でも2日置けば、カルキは十分に抜けます。



両生類であるカエルは魚類同様に水への依存度は高いので、水の入れ替えは怠らないようにしましょう。
③エサやり
エサの頻度は成体なら週2回、幼体ならば毎日か2日に1回を目安にしましょう。
毎日エサを与える必要はありません。
手間を省くなら1週間に1回、コオロギ+α(ミルワーム・ダンゴムシ・ミミズなどコオロギ以外のエサ)を放つだけでも大丈夫です。
土や植物があることでコオロギも身を隠せるので、すぐに完食されません。
ミミズはすぐに土の中に潜るので、捕食されるのを見届けましょう。
エサの量の目安ですが、カエルが活発的に動き回っているか、おとなしくしているかで変わりますが、1口サイズのコオロギを1回で5匹ほど与えれば、餓死する可能性はかなり低くなります。
④床材の入れ替え
土やソイルの場合、月に1回は入れ替え作業を行いましょう。
土やソイルはぱっと見ても汚れが分からないですが、フンやエサの残骸などで意外と汚れています。
水苔の場合も、カエルのフン尿を含んでいることから月1回は新品に取り換えておきましょう。
またトノサマガエルは水地と陸地を移動する頻度が高いことから、水が飛び散ったりこぼれたりして、ケースの底に水が溜まっている場合もあります。
水が溜まりすぎると湿度が上がる原因にもなるので、真夏は月2回の床材入れ替え作業をおすすめします。
床材の入れ替えを怠るとフン尿の気化によるアンモニア中毒の危険性があります。
猛暑日の対応
気温35度以上はトノサマガエルにとって危険なので、本格的な暑さ対策が必要となります。
おすすめの対策は陸地と水地に氷を入れることです。
植物の根付近に置いておけば、溶けた水は根で吸収されるので心配ありません。
それでも溶けた水が気になるのであれば、凍らせた容器を入れるだけでも構いません。
水容器に氷を入れる場合は、水が冷えすぎないように氷は小さいサイズにしましょう。
変温動物のカエルにとって水容器の水は体を冷やす貴重な存在であり、トノサマガエルは半水棲のカエルであることから、室温だけでなく水温についても意識しましょう。
トノサマガエル越冬時の飼育レイアウトと飼育方法
トノサマガエルは冬は土の中に冬眠してしまうので、活動期と比較するとやるべきことは少ないです。
飼育者としての心がけは、無事冬眠できるよう手助けすることと、冬眠中も水分を定期的に与え、冬眠が永眠にならないようにすることです。
冬眠飼育について詳しく知りたい方は別記事も参考にしてください。
トノサマガエル越冬時の飼育レイアウト(画像あり)


床材
土は保湿性に高い腐葉土がおすすめで、土の深さは15㎝。
小型トノサマガエルであれば10㎝で十分です。
水容器
越冬時は浅めの水容器で大丈夫です。
真冬は基本使われないですが、まれに水を求め土から出てくる個体がいるので、カエル1匹分が体半分入れるぐらいの大きさでよいので、水容器は設置しておきましょう。
植物
見栄えもかねて冬に枯れる花を設置。
一度土の中に潜っても暖かい日や雨の日は外に出てくるこがあるため、真冬に突入するまでは身を隠せる植物はあったほうが良いです。
カエルは冬眠中も土の中の水分を体から吸収しているので、土の中の水を植物が吸収してしまわないように、冬に枯れる植物がおすすめです。



カエルは冬眠中も皮膚で地中の水分を吸収するため、冬も元気よく土の中の水分を吸収する植物は危険です。
水苔
ちょっと寒い日に土を掘らなくても気軽に潜れるように設置。
秋から冬にかけて湿度が低くなるので湿度対策の意味も兼ねています。
土を掘るのに一苦労する小型のトノサマガエルにおすすめです。
トノサマガエル越冬時の飼育方法
越冬時は毎日土しか見えない飼育ケージに霧吹きをするだけと、やや虚しく感じるので覚悟しましょう。
①霧吹き
トノサマガエルが土の中に潜るまでは活動期と同様、1日2回。
暑くないから霧吹きを忘れがちになりますが、冬に向かって湿度は低くなるので、湿度を保つ霧吹きは重要です。
トノサマガエルが完全に土に潜ったら1日1回で十分です。
②水の入れ替え
トノサマガエルが冬眠するまでは活動期と同じ。
ただし涼しくなれば水質悪化の進捗も緩やかになるので、水の入れ替え頻度は真夏よりは減らして良し。
本格的に土に潜ったら、水容器を小さめのものに代えて問題ありません。
注意したいのが本格的に土に潜っても、暖かい日や雨の日には再び出てくることがあること。
実際にうちの大型トノサマガエルも10月初旬に土の中に潜るも、11月中旬の暖かい雨の日に出てきた事例があります。
また2月中旬に不意に水を求め、土から出てきた事例もありますので、水容器の水は冬もキープしておきましょう。
③エサやり
冬眠中はこれまで蓄えたエネルギーを消費するので、冬眠前は活動期以上にガッツリ与えていきましょう。
寒くなってもなかなか土に潜らない場合、エサが不十分な可能性もあります。
大型トノサマガエルの場合、秋はエンマコオロギやイナゴなど野生のエサの調達が容易です。
注意点としては消化の悪い甲虫系のエサ。
冬眠状態になると消化器官の活動もにぶくなるため、エサが消化できず体内でエサが腐る危険があるので、消化の悪いエサは控えめにしましょう。
心配であればホームセンターや爬虫類ショップで手軽に購入できるコオロギを主食にしておきましょう。
④土の入れ替え
冬眠に入ると土の入れ替えはできなくなるので、冬眠前に新鮮な土に入れ替え、土の量も多めに入れておくこと。
また、土が固いと力の弱い小型のトノサマガエルは土に潜れないので、水分を含ませて柔らかくしておくと潜りやすくなります。
春にトノサマガエルが土から出てきたら、新しい土に入れ替えです。
氷点下日の対策
冬眠中とはいえ土の中が氷点下を下回る場合は注意が必要です。
天気の良い日中は日当たりの良い場所に置き、朝晩はバスタオルで全体で包み、飼育ケースが冷え込まない工夫をしましょう。
ただし野生のトノサマガエルは土に潜っているだけで越冬できているので、あまり神経質にならなくてよいです。
トノサマガエルの捕まえ方


飼育時にありがちなのがトノサマガエルの脱走なので、トノサマガエルを譲り受けて飼育している方も最低限の捕獲に関する知識はしっておきましょう。
- ジャンプ力は他のカエルより強いため、手で捕まえるのは難しい(虫取り網が必要)
- 後ろから捕獲するのが基本
- 虫取り網を勢いよく地面に下すと、虫取り網の外枠の部分にトノサマガエルが挟まれる事故が起きるので、トノサマガエルの前方を遮るように捕まえること
- 逃げながらも物陰に隠れる性質があるので、なるべく物陰がない場所へ誘導する
- 水中の移動速度も極めて速いので、アマガエルのように水の中に誘導して捕まえるのは無謀
トノサマガエル飼育まとめ


この記事ではトノサマガエルの特徴を踏まえたうえで、トノサマガエルの飼育に必要なものと飼育方法について解説しました。
- カエルの中でもジャンプ力が強い
- 泳ぐスピードは非常に速い
- 繁殖期には「グルルルッ、グゲゲゲゲ」と鳴く
- 半水棲のカエルのため田んぼなど水のある場所にいる
- オスは55~80mm、メスは60~90mmとメスのほうが大きい
- 背中の中央に緑や白の線がある
- 手足に吸盤がないためアマガエルのように壁にくっつけない
- 穴を掘るのが意外と上手
- エサには貪欲で動くものは何でも食べる
- 大きめの飼育ケース
- 腐葉土を主体とした土
- ヘデラやポトスなどの植物
- ゆとりのある水容器
- 金魚網
- コオロギ
- ミルワーム・ミディアムワーム
- バッタ
- イナゴ
- ミミズ
- ワラジムシ・ダンゴムシ
- コバエ
- 小さめのカエル
- 霧吹きは1日2回
- エサは週1~2回。冬眠前はガッツリ
- 水の入れ替えは水量が多い場合でも最低週1回
- 土の入れ替えは月1回
- 脱走時には金魚網で対応
僕が子どもの頃は当たり前にいたトノサマガエルですが、いまや環境省のレッドリストに準絶滅危惧種指定されてしまっている貴重なカエルです。
身近なカエルは外国産カエルと違いタダで入手できるがゆえに雑に扱われがちですが、トノサマガエルは貴重な国産ガエルです。
そんなトノサマガエルを飼育環境が整っていない状態で捕まえてしまうと、ストレスを感じて弱ってしまうため、飼育環境を整えてからトノサマガエルの飼育を開始しましょう。
当サイトでは自身の失敗を含む飼育体験談を元に、これからカエルを飼育する方に役立つ情報を発信していきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。